文献詳細
文献概要
扉
逆境に負けるな脳神経外科医
著者: 水谷徹1
所属機関: 1東京都立府中病院脳神経外科
ページ範囲:P.751 - P.752
文献購入ページに移動第1に,若手脳神経外科医が萎縮せずのびのびと毎日の臨床,手術に従事できるために,まず,少なくとも施設でよく経験する疾患は,その施設自身の経験と治療成績に基づいたオープンな治療方針,手術方針を各医師に示すことだと思う.もちろん患者さんにお勧めし,選択権のある基準である.エビデンスやCRT(cluster randomized trial)はスタンダードな基準を決める上ではもちろん大事であるが,それのみに重きをおくと,結局,個々の術者の技量を考慮していない最大公約数的な基準になることが多い.また,数々の文献においてもdiscussionの部分の“誰かがこう言っている”という記述は,具体的なデータや写真の記載がない限り,引用文献をさらにさかのぼっていくと,出所がはっきりしない推察であったことが,いつのまにか事実であるかのような変遷を遂げていることも多い.大切なのは,患者個々の特性や,術者の技量,実績を反映させて実際の治療方針を決めていくことであると思う.例えばよく経験する脳内出血であるが,若手医師がエビデンスは知った上で,自分の持っている技量で患者さんに対してメリットがあると信じて行おうとする手術については後押しているつもりである.手術によって患者さんが早く離床,リハビリができるようになるという多少のプレッシャーも,低侵襲な手術の上達につながると思う.
掲載誌情報