文献詳細
文献概要
書評
『脳の機能解剖と画像診断』―真柳 佳昭●訳 フリーアクセス
著者: 斉藤延人1
所属機関: 1東京大学大学院脳神経外科学
ページ範囲:P.831 - P.831
文献購入ページに移動第一章では獲得目標などが述べられており,本書を活用する前に目を通しておくとよい.第二章が「断層画像診断と目印構造」と題する本書の中心を成す図譜の部分である.A4版の大きなページに1枚ずつ図が配置され見やすいばかりでなく,見開き2ページの左ページに図譜が,右ページにMRIが配置されていて,図譜とMRIを対比できるようになっている.MRIはT1強調画像とT2強調画像がおおむね交互に採用され,各撮影法での構造を確認できるようになっている.さらに図譜では動脈と静脈,末梢神経がそれぞれ赤,青,黄色に色分けされていてとても見やすいものとなっている.前額断,矢状断,軸位平面の各断面シリーズが記載され今日のニーズに応えており,ページの端は各断面シリーズで色が塗り分けられていて,該当ページの探しやすさにも配慮されている.また,脳幹・小脳は,Meynert軸(正中線で第四脳室の底面を通る軸)に直交する厚さ5mmスライスの断面シリーズとして別に記されている.特に脳幹部分は拡大図も示され,その中にさまざまな神経核や伝導系が色つきで図示されている.近年のMRI画像の進歩は脳幹内部の構造にも迫りつつあるが,時機を得た内容と言える.
掲載誌情報