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テクニカル・ノート
注射器から剝離したインク塊による脳血管撮影時塞栓性合併症の可能性について
著者: 神山信也1 石原正一郎1 山根文孝1 石原秀章1 金澤隆三郎1 鈴木雅規1 根木宏明1 大川原舞1
所属機関: 1埼玉医科大学国際医療センター脳卒中センター脳血管内治療科
ページ範囲:P.47 - P.50
文献購入ページに移動脳血管撮影に伴う無症候性脳梗塞の発生は約20%に上ると報告されており,その原因はカテーテル操作に伴う血栓性塞栓あるいは造影剤や生理食塩水に混入する小さな泡による塞栓とされている1-3).そして実際,それ以外に脳血管撮影時に血管内に混入して塞栓を起因しうる異物はなさそうである.しかしながらわれわれは,血管撮影時に造影剤を入れた容器内に無数の小さな黒い塊が浮遊しているというできごとを経験した.この黒い塊は,造影剤の容器内に置かれていた注射器から目盛部分のインク塊が剝離したものであることが判明した.この経験から,注射器の目盛部分のインクは脳血管撮影時に無症候性塞栓を起因している可能性があると考え,今回造影剤および注射器の種類によるインク剝離の違いを調べ,注射器のインクが塞栓性合併症の原因となる可能性につき検討した.
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