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研究
悪性神経膠腫患者に対する告知・終末期医療の現状報告―日本脳腫瘍学会員へのアンケート調査報告
著者: 成田善孝1 宮北康二1 百田洋之1 宮原るり子1 渋井壮一郎1
所属機関: 1国立がんセンター中央病院脳神経外科
ページ範囲:P.973 - P.981
文献購入ページに移動悪性脳腫瘍は希少癌でありながら,病理診断が多岐にわたるため,患者・家族にとっては情報も少なく理解しにくい病態である.未だ予後不良な疾患である膠芽腫の患者では,病名や予後について詳細な説明を受けることがなく治療を受けていることも多い.特に失語や意識障害のある患者,神経症状の進行した患者が,病名や予後について十分に説明されることなく治療を受けていることもある.他臓器のがん患者は自分の病態や予後について十分な説明を受けて自ら治療法を選択していることが多いのに対し,悪性脳腫瘍では症状が急速に進行するために,患者がセカンドオピニオンなどを求める機会すら多くないのが現状である.本研究では悪性神経膠腫患者によりよい治療を行うために,「現在どのような告知が行われ,治療方針について説明されているのか」患者本人に対する告知の現状について調査した.
また,意識障害のある患者の終末期医療を積極的に受け入れてくれる緩和ケア病院はまだまだ少なく,現状の保険医療制度では悪性脳腫瘍患者の行き場がみつからないという問題も起きている.終末期を在宅ですごす患者も少しずつ増えてきているものの,40歳未満では介護保険を使えないなどの制約も多く,十分な終末期ケアが受けられないことも多い.今回,悪性脳腫瘍患者に対して化学療法などの積極的な治療をいつまで行うかといった問題など,終末期ケア(end-of-life care,ターミナルケア)・緩和ケアの現状についても調査を行い,悪性脳腫瘍患者の告知や終末期ケアに関する問題点について検討した.
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