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症例
経過中に後天性血友病を発症したくも膜下出血の1症例
著者: 齋藤竜太1 高橋俊栄1 遠藤英徳1 木村尚人1 金子宇一1
所属機関: 1さいたま赤十字病院脳神経外科
ページ範囲:P.1215 - P.1219
文献購入ページに移動後天性血友病は血液凝固障害を主徴とする稀な疾患であり,その頻度は人口100万人あたり約1~4人とされている2-4).主として第Ⅷ因子に対する自己抗体の出現が原因となり,その結果血液凝固因子が減少して重篤な出血傾向を生じるものである.しばしば基礎疾患が随伴することが知られており,関節リウマチなどの自己免疫疾患,皮膚疾患,分娩後,がん,抗生物質投与後などが知られている.遺伝性血友病と同様ですべての人種で生じ,世界中で認められている疾患であるが,後天性血友病と診断されない,もしくは播種性血管内凝固症候群(DIC:disseminated intravascular coagulation)など他の後天性出血障害と誤診される例が少なくない.
脳神経外科領域では文献上2005年にMikamiらが未破裂脳動脈瘤術後に本疾患を合併した1症例を報告しているのみであり,極めて稀である6).今回われわれは大腸がん術後にくも膜下出血を併発し,その1カ月後に後天性血友病を発症した1症例を経験したので報告する.
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