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書評
『臨床麻酔レジデントマニュアル』―古家 仁●編
著者: 並木昭義1
所属機関: 1札幌医科大学・麻酔学
ページ範囲:P.259 - P.259
文献購入ページに移動 2008年6月に医学書院から『臨床麻酔レジデントマニュアル』が発刊された.この本の編集執筆を奈良県立医科大学麻酔学教室に依頼されたことは最適な選択であった.編集責任者の古家仁教授は日本麻酔科学会常務理事として,日本の麻酔科および麻酔科医に現在そして将来何が必要かを十分に理解している.その教室は術中の麻酔業務だけでなく,術前,術後の周術期管理に熱心に取り組んでいる.そして研修医,若手麻酔科医に臨床麻酔の知識,技術を習得させるだけでなく,患者への接し方および他科医師,看護師への対応などの教育にも力を注いでいるからである.今回発刊された本はポケット版のマニュアル本であるが臨床麻酔に必要な内容がほぼ網羅されている.しかも簡潔な表現で図表も多く用いて理解しやすくしてある.このような本ができたのは編集協力者の川口昌彦准教授,井上聡己講師および執筆に携わった29名の教室員皆さんの努力と頑張りによる.この本からは,各執筆者らが臨床現場で研修医や若手麻酔科医が何を求めているかよく知っているということや,その知識と技術を伝えたいという彼らの意気込みが伝わってくる.自分で書いたものを用いて指導に当たることは執筆者にとって嬉しいことだけでなく自分の勉強と励みになる.
この本は序章,本文8章,付録,コラムから構成される.序章では麻酔科研修と麻酔科専門医への道が書かれている.第Ⅰ章は臨床麻酔のための薬理学で各種麻酔薬,麻酔関連薬など6項目から成る.第Ⅱ章は術前評価,前投薬などの術前対応など10項目から成る.第Ⅲ章は麻酔管理に必要な手技で麻酔器の始業点検,吸入および静脈麻酔法,気道確保に必要な各種方法や器具,輸血輸液法,各種神経ブロック法,救命処置など10項目と広範囲にわたり書かれている.第Ⅳ章はモニタリングで基本モニターをはじめ筋弛緩,経食道心エコー,麻酔深度など8項目を取り上げている.第Ⅴ章は合併症とその対策で低酸素血症,肺塞栓症,アナフィラキシーなど日常臨床でよく遭遇する11項目を挙げている.第Ⅵ章は比較的頻度が高い留意すべき症例で37項目を挙げており,日常臨床において必要な症例がほぼ網羅されており,その内容もよく書かれている.第Ⅶ章は術後管理で術後訪問から術後管理,合併症対策など6項目が書かれている.第Ⅷ章は麻酔と危機管理でヒヤリハット,災害時の対応,麻酔事故への対応など5項目から成る.付録は臨床麻酔の現場に携わる者にとって必要な知識を図表を多く用いて簡潔にまとめられており大変有益である.文中の適所に「what would you do?」という27のコラムが入っている.この内容は現場で関心かつ重要な問題を取り上げ適切に解説されており参考になる.
この本は序章,本文8章,付録,コラムから構成される.序章では麻酔科研修と麻酔科専門医への道が書かれている.第Ⅰ章は臨床麻酔のための薬理学で各種麻酔薬,麻酔関連薬など6項目から成る.第Ⅱ章は術前評価,前投薬などの術前対応など10項目から成る.第Ⅲ章は麻酔管理に必要な手技で麻酔器の始業点検,吸入および静脈麻酔法,気道確保に必要な各種方法や器具,輸血輸液法,各種神経ブロック法,救命処置など10項目と広範囲にわたり書かれている.第Ⅳ章はモニタリングで基本モニターをはじめ筋弛緩,経食道心エコー,麻酔深度など8項目を取り上げている.第Ⅴ章は合併症とその対策で低酸素血症,肺塞栓症,アナフィラキシーなど日常臨床でよく遭遇する11項目を挙げている.第Ⅵ章は比較的頻度が高い留意すべき症例で37項目を挙げており,日常臨床において必要な症例がほぼ網羅されており,その内容もよく書かれている.第Ⅶ章は術後管理で術後訪問から術後管理,合併症対策など6項目が書かれている.第Ⅷ章は麻酔と危機管理でヒヤリハット,災害時の対応,麻酔事故への対応など5項目から成る.付録は臨床麻酔の現場に携わる者にとって必要な知識を図表を多く用いて簡潔にまとめられており大変有益である.文中の適所に「what would you do?」という27のコラムが入っている.この内容は現場で関心かつ重要な問題を取り上げ適切に解説されており参考になる.
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