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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科37巻4号

2009年04月発行

文献概要

コラム:医事法の扉

第36回 「他科診療依頼」

著者: 福永篤志1 河瀬斌1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.413 - P.413

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 脳神経外科関連の疾患は,高血圧症をはじめ,脂質異常症,糖尿病などの内科的疾患と密接に関係しており,患者が脳神経外科を受診することが適当であると信じていても,医学的にみれば,内科的治療を優先すべきことがよくあります.また,「頭痛」を主訴に脳神経外科を受診しても,実は耳鼻科的疾患や眼科的疾患が原因であるということもあります.そこで,われわれの日常診療においては,脳神経外科を受診した患者を脳神経外科以外の科に紹介する「他科診療依頼」が頻繁に行われています.診療所や小規模の病院では,診療情報提供書を作成し,他の専門医療機関を紹介しますが,総合病院では,多くの場合,同じ院内の他科に診療を依頼することになります.

 それでは,この「他科診療依頼」の場合の法律関係はどうなるのでしょうか.判例・通説によれば,あくまで患者と病院との間の診療契約(民法656条,準委任)ですから,担当医は診療契約を遂行するための「履行補助者」に過ぎず,たとえ同じ院内の他科の医師に依頼したとしても履行補助者が増えるだけであって,診療契約には何ら影響を及ぼさないと考えられます.また,依頼された医師は,病院(あるいは,国または地方公共団体)との雇用契約に基づき,診療行為を適切に行わなければなりません(民法644条)し,医師法等所定の義務を負うことになります.

参考文献

1)浦和地裁平成4年3月2日判決.判例時報1441号,p125
2)宮治 眞:病院における紹介のありかた.別冊ジュリストNo.140医療過誤判例百選:212-213, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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