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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科37巻5号

2009年05月発行

文献概要

コラム:医事法の扉

第37回 「専門委員」

著者: 福永篤志1 河瀬斌1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.502 - P.502

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 損害賠償を求める民事医療関係訴訟には,鑑定人に類似した専門委員という第三者が関与することがあります.医事関係訴訟に限らず,建築,知的財産権など,専門領域に知見を有しない裁判官だけでは判断が難しい事件が増えたため,現在の裁判では専門的知見が要求される傾向にあります.これに対応するためには,裁判所調査官による調査(裁判所法57条)が行われることもありますが,内容・範囲には限界があります.また,伝統的には鑑定制度(民事訴訟法151条1項5号,212条以下)がありますが,鑑定人の確保が困難なことが多く,手続きの迅速性に欠けます.そこで,紛争の早期解決のため,平成15年民事訴訟法改正により,裁判官の専門的知見を補うために専門委員制度が導入され(92条の2以下),医療訴訟では,鑑定と同じように,医師が専門委員として裁判に関与するようになりました.

 手続きとしては,裁判所は,争点整理手続き,あるいは,証拠調べを行う際に,当事者の意見を聴いて,専門委員の関与を決定することができます(92条の2第1項,2項).また,和解のために専門委員を関与させるときには,当事者の同意が必要となります(同3項).専門委員による説明は,書面または口頭で行い(同1項後段),裁判長は,当事者の同意を得て,専門委員に証人等に対して質問させることができます(同2項後段).専門委員は,裁判官のように,中立的専門家であることが要求されるため,裁判の公正が妨げられるような事情がある場合には,裁判への関与を辞退させられることがあります(除斥・忌避,92条の6,23~25条).

参考文献

1)東京三弁護士会,医療関係事件検討協議会:専門委員制度検証小委員会報告書.2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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