icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科37巻6号

2009年06月発行

文献概要

コラム:医事法の扉

第38回 「名誉毀損・侮辱」

著者: 福永篤志1 河瀬斌1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.617 - P.617

文献購入ページに移動
 近年の情報化社会では,インターネットなどを介しさまざまな情報が掲示されますが,その中には,医師の名誉を傷つけるものもしばしば散見されます.また,医師自らが情報発信者となって,無意識に他人の名誉を傷つけてしまうこともあります.そこで,今回は,「名誉毀損」と「侮辱」の定義,判例などを検討し,自己の名誉が毀損された場合にいかに回復するか,あるいは,自分がインターネット掲示板などで他人を侮辱しないようにするにはどうすべきかなどについて考察します.

 「名誉毀損」とは,他人の社会的評価を低下させる行為を言い,民法と刑法にそれぞれ規定され,民法を根拠として,被害者が損害賠償を求め,刑法を根拠として,検察官が刑罰を求めてきます.民法では,「他人の身体,自由若しくは名誉を侵害した場合…,前条の規定により損害賠償の責任を負う者は,財産以外の損害に対しても,その賠償をしなければならない.」(710条)と定められ,名誉毀損は不法行為(709条)の1つとされています.そして,「他人の名誉を毀損した者に対しては,裁判所は,被害者の請求により,損害賠償に代えて,又は損害賠償とともに,名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる.」(723条)という名誉回復請求権が認められています.具体的には,謝罪広告等の掲載を求める方法があります.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?