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読者からの手紙
第3回国際スポーツ脳振盪会議
著者: 荻野雅宏1
所属機関: 1獨協医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.810 - P.810
文献購入ページに移動 昨年(2008年)10月末,スイスのチューリッヒで第3回国際スポーツ脳振盪会議が開かれました.過去2回の会議を共催した国際サッカー連盟(FIFA),国際オリンピック委員会(IOC),国際アイスホッケー連盟(IIHF)に加え,今回は国際ラグビー評議会(IRB)も主催者に名を連ねました.このほど同会議の共同声明3)が発表され,今後もあわせると計9つの雑誌に掲載される予定1)です.
今会議での注目すべき点として,前回のプラハ声明2)で提唱された重症度分類(単純型と複雑型)が廃止されたこと,小児(5~18歳)に対しての慎重な対応がより明確に記載されたこと,現場での判断基準となるスポーツ脳振盪評価ツール(Sport Concussion Assessment Tool:SCAT)2,5)が改訂されたこと,などが挙げられます.従来の神経学的スクリーニング(言語機能,眼球運動と瞳孔,上肢のBarré徴候,歩行)に代わって,姿勢安定性検査(バランステスト)と指鼻試験が取り入れられた一方,改訂SCAT2のみに頼った脳振盪の診断や復帰の判断は不可,とも明記されています.評価は個々に応じて総合的に行われるべき,という基本姿勢は変わりません.
今会議での注目すべき点として,前回のプラハ声明2)で提唱された重症度分類(単純型と複雑型)が廃止されたこと,小児(5~18歳)に対しての慎重な対応がより明確に記載されたこと,現場での判断基準となるスポーツ脳振盪評価ツール(Sport Concussion Assessment Tool:SCAT)2,5)が改訂されたこと,などが挙げられます.従来の神経学的スクリーニング(言語機能,眼球運動と瞳孔,上肢のBarré徴候,歩行)に代わって,姿勢安定性検査(バランステスト)と指鼻試験が取り入れられた一方,改訂SCAT2のみに頼った脳振盪の診断や復帰の判断は不可,とも明記されています.評価は個々に応じて総合的に行われるべき,という基本姿勢は変わりません.
参考文献
1)Cantu R:Consensus statement on concussion in sport-The 3rd International Conference on Concussion, Zurich, November 2008. Neurosurgery 64:786-787, 2009
2)McCrory P, Johnston K, Meeuwisse W, Aubry M, Cantu R, Dvorak J, Graf-Baumann T, Kelly J, Lovell M, Schamasch P:Summary and agreement statement of the 2nd International Conference on Concussion in Sport, Prague 2004. Br J Sports Med 39:196-204, 2005
3)McCrory P, Meeuwisse W, Johnston K, Dvorak J, Aubry M, Molloy M, Cantu R:Consensus statement on concussion in sport-The 3rd International Conference on concussion in sport, held in Zurich, November 2008. J Clin Neurosci 16:755-763, 2009
4)野中雄一郎,谷 諭,McCrory P:スポーツにおける脳振盪─第3回国際会議のstatement.臨床スポーツ医学27(in press),2010
5)荻野雅宏,金 彪:スポーツによる頭部外傷.No Shinkei Geka 36:949-959, 2008
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