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軽症小児頭部外傷症例における頭部3D-CT画像の有用性と注意点
著者: 松本佳久1 苗代弘1 魚住洋一1 景山寛志1 鷲見賢司1 長谷公洋1 南村鎌三1 藤井和也1 戸村哲1 豊岡輝繁1 大角篤司1 長田秀夫1 都築伸介1 島克司1
所属機関: 1防衛医科大学校脳神経外科
ページ範囲:P.35 - P.40
文献購入ページに移動軽症小児頭部外傷は,救急外来で頻度の高い傷病であるが,中には重症化する症例を認めることもある.Lloydらは,意識消失や嘔吐などのエピソードや神経学的異常所見が存在すれば,感度91%,陰性的中率97%で頭蓋内損傷を同定可能と報告している5).しかし,特に乳幼児症例では成人症例と比べ,病歴や神経学的異常所見の把握が困難である3,5).
来院時の神経学的所見が重篤でなくとも,頭蓋内損傷は存在し得る.Rivaraらは,来院時GCS(Glasgow Coma Scale)が13点以上でも,小児頭部外傷症例の31%にCT画像で異常所見を認めている7).Davisらは,来院時GCSが15点でも,意識消失のエピソードを認めた症例では,7.5%で頭蓋内出血像を認めている2).
頭蓋内損傷の可能性がある場合,画像診断を要することになるが.この中で,頭蓋骨骨折は頭蓋内損傷の危険因子とされる.頭部単純X線画像で骨折像が認められる場合は,頭部computed tomography(CT)を撮影するなどの精査が必要である3,9).一方,頭部単純X線画像の有効性を疑問視する報告もある5).また,頭部CT軸位断のみでは撮影画像と平行に近い角度で走る線上骨折像を見逃す恐れがある10).いずれにせよ,頭蓋内損傷の有無や骨折像を簡便に確認できる画像が求められる.
近年,multislice CTの利用により,体動の多い小児症例でも短時間で頭部単純CT撮影ができるようになった.また,画像ソフトにより頭蓋骨の3次元CT(3D-CT)構成も容易にできるようになった.
われわれは,軽症小児頭部外傷症例に対して頭部CT後に3D-CTを構成することで,頭蓋内異常所見のみならず,頭部単純X線撮影に比べて容易に骨折像を指摘することができた.しかし,3D-CT読影上の注意点が存在したため,文献的考察を加えて報告する.
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