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症例
側頭骨原発軟骨芽細胞腫の1例
著者: 堤佐斗志1 三島有美子1 野中康臣1 阿部祐介1 安本幸正1 伊藤昌徳1
所属機関: 1順天堂大学医学部附属浦安病院脳神経外科
ページ範囲:P.1019 - P.1024
文献購入ページに移動軟骨芽細胞腫は原発性骨腫瘍の約1%を占める良性腫瘍(WHO grade Ⅰ)である.手術により全摘できれば治癒が期待できる一方,部分摘出ないし掻破術後では再発が臨床上問題になることがある.頭蓋骨原発の軟骨芽細胞腫は稀で,現在まで頭蓋底腫瘍として約60例,側頭骨原発例が45~56例報告されているのみである1,4,6).またその大半が5例以下の報告である2-5,7-9).軟骨芽細胞腫の治療は機能温存を図りつつ可能な限り全摘出を目指すことを原則とし,頭蓋底外科手技を駆使した手術も積極的に行われている5,6,8).病理診断上好酸性の胞体をもち,ときに核にくびれがみられる腫瘍細胞と破骨細胞様多核巨細胞の増殖,間質の軟骨器質,細胞間の石灰沈着などが特徴的所見とされる1-9).巨細胞腫,軟骨肉腫,動脈瘤様骨囊腫,軟骨粘液性線維腫などとの鑑別が必要となるが,近年S-100染色の診断上の有用性が認識されるようになった1,9).今回われわれは伝音性聴力障害で発症,手術により治療した中頭蓋窩軟骨芽細胞腫の症例を経験したので報告する.
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