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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科38巻12号

2010年12月発行

文献概要

連載 先天奇形シリーズ【新連載】

(1) 中枢神経奇形の胎児診断

著者: 白根礼造12

所属機関: 1宮城県立こども病院 2東北大学大学院発達神経外科学

ページ範囲:P.1133 - P.1143

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Ⅰ.はじめに

 近年の超音波エコーによる診断技術の進歩に伴い妊婦検診によって胎児の中枢神経系の正常発達の経時的評価や形態異常の診断が可能となって来た.3D/4D超音波機器の登場によってさらに多くの情報がもたらされることから,何らかの中枢神経系異常を指摘されて専門施設に紹介される機会が多くなっている.宮城県立こども病院には宮城県内における妊婦検診で中枢神経系異常を疑われたほぼすべての妊婦が紹介される仕組みとなっており,この4年半で80(21~38歳)例が中枢神経系異常を指摘され当院を受診しさらに増加傾向にある.宮城県における分娩数が年間2万件弱であるため,おおよそ1,000件に1件の割で中枢神経系の異常を指摘されたことになる.しかしそれらの中で実際に外科治療などの何らかの処置が必要であったのは4割弱で,問題となる場合はむしろ少数であった.ただし前医にて児に関して具体的な病名が告げられて,さらに正しい情報が与えられていなかった場合などでは,その後の診療に大きな支障となることもある.産科医による妊婦検診の目的は中枢神経系異常の診断ではないため,脳神経外科医あるいは小児神経科医が意見を求められる機会は少なくない.胎児の画像診断に習熟することなしに正常発達と異常の判断は困難と考えられるため,本稿では脳神経外科医が関わる範囲での胎児診療について解説する.

参考文献

1)Kanal E, Borgstede JP, Barkovich AJ, Bell C, Bradley WG, Felmlee JP, Froelich JW, Kaminski EM, Keeler EK, Lester JW, Scoumis EA, Zaremba LA, Zinninger MD;American College of Radiology:American College of Radiology White Paper on MR Safety. AJR Am J Roentgenol 178:1335-1347, 2000
2)Levine D:Atlas of Fetal MRI. Taylor & Francis, Boca Raton, London, New York, Singapore, 2005
3)Pooh RK, Kujrjak A:Fetal Neurology. JAYPEE, St Louis, 2009
4)白根礼造,林 俊哲,加藤貴弘,星合哲郎,島貫義久,斉藤潤子,冨永悌二:胎児期に診断された水頭症に関する検討.小児の脳神経34:81-83,2009
5)白根礼造,林 俊哲,國井周太郎,丸山英樹:胎児水頭症の今後の課題.日本周産期・新生児医学会雑誌42(4):833-835, 2006
6)山崎麻美,他編:胎児水頭症 診断と治療のガイドライン改訂第2版.金芳堂,京都,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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