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連載 先天奇形シリーズ【新連載】
(1) 中枢神経奇形の胎児診断
著者: 白根礼造12
所属機関: 1宮城県立こども病院 2東北大学大学院発達神経外科学
ページ範囲:P.1133 - P.1143
文献購入ページに移動近年の超音波エコーによる診断技術の進歩に伴い妊婦検診によって胎児の中枢神経系の正常発達の経時的評価や形態異常の診断が可能となって来た.3D/4D超音波機器の登場によってさらに多くの情報がもたらされることから,何らかの中枢神経系異常を指摘されて専門施設に紹介される機会が多くなっている.宮城県立こども病院には宮城県内における妊婦検診で中枢神経系異常を疑われたほぼすべての妊婦が紹介される仕組みとなっており,この4年半で80(21~38歳)例が中枢神経系異常を指摘され当院を受診しさらに増加傾向にある.宮城県における分娩数が年間2万件弱であるため,おおよそ1,000件に1件の割で中枢神経系の異常を指摘されたことになる.しかしそれらの中で実際に外科治療などの何らかの処置が必要であったのは4割弱で,問題となる場合はむしろ少数であった.ただし前医にて児に関して具体的な病名が告げられて,さらに正しい情報が与えられていなかった場合などでは,その後の診療に大きな支障となることもある.産科医による妊婦検診の目的は中枢神経系異常の診断ではないため,脳神経外科医あるいは小児神経科医が意見を求められる機会は少なくない.胎児の画像診断に習熟することなしに正常発達と異常の判断は困難と考えられるため,本稿では脳神経外科医が関わる範囲での胎児診療について解説する.
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