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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科38巻2号

2010年02月発行

文献概要

海外留学記・番外編

エジプト脳神経外科進歩の概観

著者:

所属機関: 1愛知医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.177 - P.181

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 エジプトは常に広大で,他国に対して強い影響力を持った国であり,文明が生み出され未来へと発展するその岐路において,いつも重要な役割を果たしてきました.古代エジプト人は,自分たちの知識や,脳,脊椎,中枢神経系の疾患治療法について,多くの文書を残しています.例えば1862年に発見されたEdwin Smith papyrusは,紀元前17世紀ごろに記されたものだと言われていますが,そこに書かれている知識はImhotep(2600~2650 B.C.)によるものだと考えられています.頭蓋の損傷と骨折について書かれたそのpapyrusは,知られている限りでは世界最古の外科手術に関する論文で,特に脳病変と運動機能の喪失の相関関係を中心に書かれています1).現在そのpapyrusは,The New York Academy of Scienceで保管されています(Fig. 1).また,Eber papyrus(紀元前16世紀)には,頭痛と片頭痛に対する12の治療法が記されています.「頭蓋骨の半分」とも呼ばれる片頭痛は,特異な疾患であると考えられていたので,その治療も独特な方法で行われていました(Fig. 2)2)

 さらに,文書の他にも,古代エジプト人は脊髄灰白質炎などの疾病を多くの壁画や彫像として残しています(Fig. 3, 4).Rogersは,古代エジプト人の頭蓋骨から2つの頭蓋内髄膜腫の痕跡を発見しました3)

参考文献

1)Breasted JH:The Edwin Smith Surgical Papyrus. The University of Chicago, Chicago, 1930, pp201-216, pp323-339
2)Ghaliongui P:The Ebers Papyrus. Cairo Academy of Scientific Research and Technology, Cairo, 1987, pp85-86
3)Rogers L:Meningiomas in Pharos people:Hyperostosis in ancient Egyptian skulls. Br J Surg 36, 1949, pp423-426
4)Ebeid NI:Egyptian Medicine in the Days of the Pharos. General Egyptian Book Organization, pp135-179

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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