文献詳細
文献概要
扉
待遇改善の原資と傾斜配分の必要性
著者: 金彪1
所属機関: 1獨協医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.413 - P.414
文献購入ページに移動しかし経済全体の現況は,1人あたりのGDPがかつてのトップクラスから23位まで転落し,総額で中国に追い越され(購買力平価),この状況を一言で要約すればデフレであり,それに「スパイラル」という言葉が付くかどうかの状態である.新産業改革,エネルギー・交通革命など,経済再活性化の方向性ははっきりせず,税収はますます減る傾向にある.財政赤字はGDP比7%を超えており,国債債務残高はGDP比190%で単独首位,米国,英国,ドイツ,フランスなどの2倍以上である.経済全体の見通しが悪い状況下で,医療の技術集約的分野における有効な人的資源の保全強化策,待遇改善などを,財源に負担をかけずにどう成し遂げるのかが現実的な課題であろう.脳神経外科をはじめとする外科医療供給側の危機状況を述べて理解してもらうことは必要だが,声高にさらなる診療報酬の増額,新項目の創設など,財政資源の振り向けを要求するだけでは説得力に欠けるのではなかろうか.それではむしろ,全体像を見ようとしない集団であるというイメージを与えかねない.また診療報酬の増額分が人的資源,即ち賃金報酬に振り向けられるかどうかは医療機関の個別の経営状況と裁量次第である.
掲載誌情報