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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科38巻6号

2010年06月発行

文献概要

コラム:医事法の扉

第50回 「予防接種」

著者: 福永篤志1 河瀬斌2

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会立川病院脳神経外科 2慶應義塾大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.586 - P.586

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 予防接種は,麻疹,結核などの一類疾病(予防接種法2条2項)と,インフルエンザの二類疾病(同条3項)に対して行われます.最近では,新型インフルエンザが記憶に新しいでしょう.

 では,予防接種の副作用で患者に健康被害が発生した場合,被害の塡補はどうなるのでしょうか.この問題は,「賠償」と「補償」を理解することから始まります.賠償も補償も,「行為(接種)」と「結果(後遺障害など)」との因果関係がなければ請求できません.両者の違いは,「賠償」が接種側(当該医師や国)に過失がなければ成立しない一方で,「補償」は過失を必要としない分その塡補範囲は制限されているという点にあります.以前は「補償」されなかったのですが,多くの予防接種を実施すると,ある確率で後遺障害は発生するので,予防接種制度を維持するためにもこの被害は過失の有無にかかわらず「補償」すべきであると考えられ,昭和51年に補償規定が設けられたのです(最近では「産科補償制度」など).

参考文献

1)福永篤志,河瀬 斌:第6回「因果関係」.No Shinkei Geka 34:1057, 2006
2)福永篤志,河瀬 斌:第8回「問診義務」.No Shinkei Geka 34:1239, 2006
3)厚生省保健医療局長通知,健医発第961号,平成6年8月25日

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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