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編集後記 フリーアクセス
著者: 片山容一
所属機関:
ページ範囲:P.594 - P.594
文献購入ページに移動思い返してみると,数十年前の医療は,かなり素朴なものだった.それから,医療は急速に高度なものに進歩した.高度医療の対象になる疾患が増え,そこに投入される資材も人材も多様化してきた.その結果,国民医療費は,国民がみんなで負担することのできる限度を超えてしまったようである.ところが,国民の健康への希求には際限がない.医療が進歩すればするほど,それにつれて高度医療への欲求も増大する.だから,とうとう帳尻が合わなくなった.これが医療問題の本質だろう.みんなの負担を抑えようとすれば,医療を供給する側が悲鳴を上げる.もうお手上げだからと各々の負担に任せれば,裕福な人々に医療資源が吸い上げられ,医療を受給する側の大多数は我慢するしかなくなる.これでは,もはや解決する方法はないように見える.
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