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研究
家庭用永久磁石磁気治療器の磁場が圧可変式シャントバルブに与える影響
著者: 中嶋浩二1 大石敦宣1 糸川博2 藤本道生3
所属機関: 1東戸塚記念病院脳神経外科 2葛西循環器脳神経外科病院脳神経外科 3昭和大学藤が丘病院脳神経外科
ページ範囲:P.725 - P.729
文献購入ページに移動現在,本邦の特発性正常圧水頭症診療ガイドラインでは,脳室─腹腔シャント手術のバルブとして,圧可変式バルブが推奨されている.そのため,水頭症治療におけるシャントシステムとして,圧可変式バルブが最も使用頻度の高いバルブである.利点としては,患者の状態に応じて,バルブ開放圧を経皮的に変更できることが挙げられる.一方,磁気を発する器具を用いてバルブの設定圧を変更するため,日常生活において,さまざまな磁場の影響を受け,圧設定の予期せぬ変化を来す危険を伴うことが欠点である.
本邦では,多種多様な家庭用磁気治療器が市販されている.特に,径が10mm程度の小型の永久磁石を絆創膏で体表に貼り付けるタイプの磁気治療器が広く普及している.このような磁気治療器の説明書には,圧可変式バルブを使用している場合,誤作動を招く可能性があるため使用禁忌と記載されている.しかし,患者自身の認識不足でシャントバルブ近傍に磁気治療器を貼付する可能性や,磁気治療器を頚部,肩から上肢にかけて貼付した成人が,圧可変式バルブを埋め込まれた小児患者を抱きかかえる可能性もある.その場合,磁気治療器から発生する磁場によりバルブ開放圧設定が変化する恐れがある.本研究では磁気治療器と圧可変式バルブ間の安全な距離について検証を試みたので,文献的考察を加え報告する.
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