icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科38巻9号

2010年09月発行

雑誌目次

まごころの医療

著者: 塩川芳昭

ページ範囲:P.785 - P.786

 やや,気恥ずかしいタイトルである.しかし,このような時代であるからこそ,脳神経外科を遂行していく基本的理念は何かと考えた時に,たどり着くのはまごころの医療を実践していくことではないだろうか.

 パラダイムシフトと言われて久しい.筆者も,あらゆることが右肩上がりで,今日より明日がよい日となることを信じて疑わなかった時代に育った世代である.CTが導入された頃に脳神経外科の扉を叩き,画像診断1つにしてもその長足の進歩を現場で体感できたのは幸運であった.また卒後数年して脳動脈瘤手術を始めた頃が頭蓋底手術の勃興期にあたり,同じ頃に一般化したビデオ発表を通じて自分の手術手技と世の中の技術水準の進歩を,まさに当事者として渦中で体得できたことも得がたい経験であった.このような科学技術の進歩が脳神経外科そのものを大きく変貌させているわけであるが,コアになる不変の真理たるべき部分が揺るがされてはいないだろうか.画像診断の進歩が,逆に手術目標や結果について画像を中心に論じる傾向につながっていることも然りである.患者背景への配慮が足らずに不要な拡大手術や手術内容の複雑化があるとすれば,それを技術の進歩と言うべきか疑わしい場合すらありうる.筆者もかつて,高難度手術の「成功」例を自分としては謙虚に発表したつもりであったが,できることとやるべきこととは違うとの厳しいお叱りを受けたことがあった.重要なのは科学技術の進歩が人間性の喪失,全人的医療からの後退につながっていないかを自問することである.

総説

脳動脈瘤発生・増大のメカニズム

著者: 横井俊浩 ,   野崎和彦

ページ範囲:P.787 - P.793

Ⅰ.は じ め に

 破裂脳動脈瘤は年間で人口10万人あたり10人に発症し,このうち26~42%は死亡する,予後不良な疾患の1つである.そのため,近年MR angiography(MRA),CT angiography(CTA)などの普及に伴い,未破裂脳動脈瘤の発見と破裂前の予防的治療が行われている.一方,未破裂脳動脈瘤の年間破裂率は1~2%程度と報告されているが,International Study of Unruptured Intracranial Aneurysm(ISUIA)が1998年および2003年に報告した年間破裂率は極めて低く,その後の脳動脈瘤治療に大きな影響を与えた42).この報告では,10mm以下の脳動脈瘤をもつ者のうち破裂脳動脈瘤の既往のない例の年間破裂率は0.05%であり,対象患者や研究方法などにより破裂率にはばらつきが生じることがわかる.また,anterior circulationでくも膜下出血の既往がない7mm以下の脳動脈瘤の年間破裂率は0%であるのに対して,実際の臨床では7mm以下の破裂脳動脈瘤にしばしば遭遇するという矛盾は,こうした未破裂脳動脈瘤と破裂脳動脈瘤の病理所見の違いに起因するものと思われる.すなわち偶然発見される未破裂脳動脈瘤の多くは,炎症や退行変化の少ない安定した脳動脈壁をもつタイプで破裂の可能性は極めて低いが,一部に脳動脈壁の炎症や退行変化が著しいものが存在し,それは短期間に増大し,比較的小さいサイズで破裂することが推察される.

 破裂危険因子としては,脳動脈瘤の大きさ,高血圧,喫煙,多発例や家族歴などが挙げられており,脳動脈瘤の発生には環境因子だけでなく,遺伝的な要素も関与していることが示唆されている.近年では遺伝子の解析やそれに伴う病理学的な検討,コンピュータシミュレーションによる血流の解析などにより,脳動脈瘤の発生の原因や増大,破裂のメカニズムの解析が試みられている.現時点では,脳動脈瘤破裂の危険性を予測する因子として,前述した大きさ,形状や脳動脈瘤の家族歴などが指標となっているが,将来的に脳動脈瘤壁の安定性を評価する方法が開発されれば,より正確な情報を患者に提供することが可能になると期待される.本稿では,脳動脈瘤発生・増大のメカニズムにつき,いくつかの文献を踏まえて考察する.

重症頭部外傷における脳内microdialysisの応用

著者: 河井信行 ,   河北賢哉 ,   矢野達也 ,   阿部祐子 ,   黒田泰弘 ,   田宮隆

ページ範囲:P.795 - P.809

Ⅰ.は じ め に

 脳内微小透析法(microdialysis:MD)は,脳内に挿入した微小な透析膜カテーテルを利用して,透析の原理により脳組織の細胞外液を採取し,その中の化学物質の濃度を測定する生化学的脳モニタリング法である.透析膜をもつカテーテルを組織内に挿入し,灌流液を介して細胞外液中の化学物質の濃度を測定することは,30年以上前から実験動物において行われてきた.その後1990年代初めからヒトへの応用が開始され20,25),新たな脳モニタリング法として急速に発展してきた.近年,簡便な装置の開発と膜素材の改良などにより,合併症を起こさず安全に長期間のカテーテル留置が可能となった.MDにより損傷を受けつつある脳組織の代謝変化を連続的にモニタリングすることで,二次的脳損傷メカニズムの解明,治療法の選択や治療開始時期の決定,治療効果の判定などがベッドサイドで可能である.

 近年,ヒト用のMDカテーテルが本邦でも薬事承認され,神経集中治療領域における臨床応用が開始されている.本稿では,MDの基本的な原理と頭部外傷におけるMDの役割を最近の報告を基に解説し,またわれわれの初期の経験を報告する.

研究

過去10年間におけるくも膜下出血後死亡率の経時的変化

著者: 定政信猛 ,   吉田和道 ,   鳴海治 ,   沈正樹 ,   山形専

ページ範囲:P.811 - P.815

Ⅰ.は じ め に

 一般にくも膜下出血患者の予後は不良であり,1/3から半数の患者が死亡すると言われている.厚生労働省の統計上,くも膜下出血を主死因とする死亡者数は近年微増傾向にある3)が,海外ではくも膜下出血発症者の死亡率が徐々に低下しているとの報告2,5)もある.今回われわれは,過去10年間のくも膜下出血患者から死亡例を抽出し,頻度,年齢,死亡原因,神経学的重症度,脳血管攣縮の有無などの関連因子について経時的な検討を行った.

錐体斜台部髄膜腫の自然歴と手術成績

著者: 寺坂俊介 ,   浅岡克行 ,   小林浩之 ,   山口秀 ,   澤村豊

ページ範囲:P.817 - P.824

Ⅰ.は じ め に

 錐体斜台部髄膜腫(petroclival meningioma:PCM)は斜台上部2/3の錐体斜台移行部から発生し,三叉神経の内側に主座を置く髄膜腫であり,その治療成績において三叉神経よりも外側の錐体骨から発生する錐体骨髄膜腫とは厳密に区別されるべき疾患である.本疾患に対する外科治療は,脳神経外科領域の中でも最も難しいものの1つと言われているが,その難しさは手術手技と手術適応の2つに大別される.本疾患に対する手術成績はエキスパートと呼ばれる脳神経外科医でも術後約30%(20.3~46%)に何らかの脳神経障害を生じ,全摘出率は約50%(20~85%)と他の良性腫瘍のそれと比較して明らかに不良である1-3,10-12,15,16).本疾患の手術適応に関しては,過去にほとんど議論されていない19).最近では無症候性の小さなPCMも偶然に発見されることがあり,その手術適応に悩むことも少なくない.本疾患のように,良性腫瘍であるにもかかわらずハイリスクな手術を適用する場合には,少なくとも手術治療群の機能予後が自然経過における機能予後と同等かそれ以上であることが望ましい.

 今回われわれは当施設でのPCMの手術成績を報告するとともに,機能予後という観点から経過観察群と手術治療群の回顧的解析を行い,PCMの手術適応に関して考察する.

症例

病期が進行した無症候性成人もやもや病に対する脳血行再建術:2例報告

著者: 川合かがり ,   黒田敏 ,   川堀真人 ,   中山若樹 ,   寺坂俊介 ,   岩﨑喜信

ページ範囲:P.825 - P.830

Ⅰ.は じ め に

 近年,MRI,MRAの診断技術の進歩により,無症候性もやもや病が発見される機会が増加している1,3,4,7,9).しかし,無症候性もやもや病に対する具体的な治療指針は定まっていないのが現状である.今回,われわれは,経過観察中に病期が進行したために脳循環動態が悪化した無症候性もやもや病2例に対して,脳血行再建術を施行したので文献的考察を加えて報告する.

副神経鞘腫の1例

著者: 貞友隆 ,   勇木清 ,   右田圭介 ,   日高敏和 ,   栗栖薫

ページ範囲:P.831 - P.837

Ⅰ.は じ め に

 頭蓋内神経鞘腫は原発性脳腫瘍の約8%を占める21).その多くは感覚神経である前庭神経に生じ,運動神経に発生することは少ない.さらに運動神経を発生起源とする神経鞘腫の中でも副神経鞘腫は稀である.今回われわれは,cerebellomedullary cisternに病変を有する副神経鞘腫の1例を経験したため,過去の文献を渉猟しその臨床的な特徴について報告する.

強直性脊椎炎に伴う頚椎骨折の1例

著者: 金子高久 ,   小柳泉 ,   村上友宏 ,   寳金清博

ページ範囲:P.839 - P.843

Ⅰ.は じ め に

 強直性脊椎炎は,脊柱の関節や仙腸関節を主に障害する全身の炎症性疾患である.若年で発症し,椎体間が癒合し,脊柱の可動性や弾力性が失われる.さらに骨粗鬆症を合併し,軽微な外傷で脊椎骨折を生じやすい8,11,18).骨折部の不安定性や偽関節により遅発性に脊髄麻痺を生じる危険性が高く,強固な固定を要する1,15).今回,強直性脊椎炎に伴うC7頚椎骨折に対して手術治療を行った症例を報告する.本病態では通常の頚椎骨折とは異なる臨床像を示す.本報告では,画像上の特徴と手術方法について検討する.

脳表と硬膜の吻合血管の解離にて発症した急性硬膜下血腫の1例

著者: 佐藤岳史 ,   山田茂樹 ,   寺島剛 ,   武内英二 ,   八木美雪 ,   齊木雅章

ページ範囲:P.845 - P.850

Ⅰ.は じ め に

 急性硬膜下血腫の発症要因は,頭部外傷による架橋静脈の破綻や脳挫傷からの出血により形成される外傷性のものがほとんどである.非外傷性急性硬膜下血腫の要因としては,脳動脈瘤の破裂8,15),もやもや病からの出血11),出血性素因に伴うもの2)などが報告されている.一方,外傷歴のはっきりしない皮質動脈の破綻による急性硬膜下血腫も,急性特発性硬膜下血腫として過去に多く報告されている5-7,10,12,14,17,18,20)

 過去に,急性特発性硬膜下血腫の原因の1つとして,硬膜と脳表の吻合血管の破綻による硬膜下血腫を論じた報告は散見されるが10),術中所見およびその病理所見にまで言及した報告はない.今回われわれは,硬膜と脳表の吻合血管の解離により生じた急性硬膜下血腫を経験した.その手術所見,病理所見について若干の考察を加え報告する.

連載 臨床神経心理学入門

第4回 脳卒中

著者: 武田景敏 ,   河村満

ページ範囲:P.851 - P.854

Ⅰ.は じ め に

 脳血管障害は神経心理学的症候を呈することが多く,その症候と病巣部位との対応の検討から神経心理学は発展してきた.脳血管障害は急性期に出現し,経過とともに消失する症候や後遺症として残存する症候もあり,時間経過とともに変動する.また,症候が示唆する機能予後を予測するためにもその病態機序を理解することは重要であると考えられる.本稿では脳神経外科で扱われる脳血管障害として,脳出血により知覚転位(alloesthesia)を呈した症例,くも膜下出血後の血管攣縮による梗塞性病変により使用行動(utilization behavior)を呈した症例を呈示し,その神経心理学的症候と病態機序について概説する.

海外留学記

Skull Base Surgery Fellowship Department of Neurosurgery, Cleveland Clinic Foundation, Cleveland, Ohio, USA

著者: 大宅宗一

ページ範囲:P.855 - P.858

はじめに

 私は,2008年11月より,米国オハイオ州クリーブランドのCleveland Clinic Foundation (CCF), Department of Neurosurgery, Brain Tumor & Neuro-Oncology, Skull Base Surgeryにclinical fellowとして臨床留学しております.1998年に医学部を卒業し,脳神経外科医として現在13年目を迎えています.2004年には脳神経外科専門医を取得しました.今回は,当地にて経験している手術,業務内容,そしてオハイオ州の生活などに関してご紹介します.

報告記

第7回アジア脳腫瘍学会報告記(2010年6月10~12日)

著者: 西川亮

ページ範囲:P.860 - P.861

 アジア脳腫瘍学会(Asian Society for Neuro-Oncology:ASNO)はアジアにおけるneuro-oncologyの質の底上げと,この分野に携わる医師・研究者の親睦を図ることを意図した学会であるが,同時に,世界脳腫瘍学会(World Federation of Neuro-Oncology:WFNO)において北米,ヨーロッパとの3極を形成するためにアジアで組織されたという背景がある.第1回のASNO Meetingは日本(熊本)で行われ,以来韓国(ソウル),中国(上海),台湾(台北),トルコ(イスタンブール),日本(横浜)と続き,今回が第7回である.今回はソウルのJW Marriott Hotelが会場であった.

 会長はKyung-Gi Cho先生で,若い時に米国UCSFに留学経験があり,日本にも知己の多い先生である.参加国は21カ国,参加者は373名,演題数は279題であった.やはり地元韓国からの演題が111題と最も多かったが,次いで日本72題,中国43題で,この3カ国が主要国ということになる.韓国と中国からはneuro-oncologyといっても手術の演題が多く,頭蓋底腫瘍や髄膜腫,下垂体腫瘍のセッションも開かれていた.招待演者にはSamii先生もいらっしゃって神経鞘腫の手術について講演された.

読者からの手紙

アフリカの若い脳神経外科医のためのワークショップに参加して―世界で見るサムライ精神

著者: 神野哲夫

ページ範囲:P.862 - P.865

 2010年3月,北アフリカにあるモロッコのラバットにて,「アフリカの若い脳神経外科医のためのワークショップ」に講師の1人として参加した.

 参加者の多くはアフリカの若い黒人の脳神経外科医で,総勢50名はいたであろうか.なにしろアフリカ,特に中,西部の国々は人口1千万人に脳神経外科医が1人いるか否かの国々であり,多勢の参加者があるわけではない(Table).黒人の医師達以外では,北アフリカの国々のイスラム教の人々が40~50名いたようである.

コラム:医事法の扉

第53回 「脳腫瘍」

著者: 福永篤志 ,   河瀬斌

ページ範囲:P.866 - P.866

 「脳腫瘍」の場合,通常,何らかの神経障害を契機に発見されますが,無症状で偶然発見されることもあります.術後の神経障害の内容と程度は,腫瘍の部位・大きさ,悪性度,術前の神経症状,年齢,アプローチ,手術手技,術中モニタリングの効果などが複雑に影響します.このような臨床的特徴から,脳腫瘍に関連した医療訴訟には,脳動脈瘤とは少し異なる裁判上の特徴があるようです.

 平成元年以降の11判例をみますと,裁判上の争点としては,「因果関係」,「誤診等不適切な診療行為」(以上,同順位),「手術・検査・治療手技の過失」,「説明義務違反」,「管理義務違反」,「手術・検査の不作為・懈怠」の順に多いことがわかりました.そのうち裁判所の認容率が特に高かったのは,「因果関係」(90%)と「管理義務違反」(80%)でした1).管理義務違反が高率に認容された理由として,モニタリングの機会が脳動脈瘤よりも比較的多く,モニタリングによる管理方法は通常標準化されていることから,術後に予測以上の障害が発生した場合に,当時の医療水準に満たない方法で管理をしていた時には医療側の過失が認定されやすいからではないかと考えられます(もっとも,今後裁判例が増えると傾向が変わるかもしれません).

書評

『神経内科ハンドブック 第4版 鑑別診断と治療』―水野 美邦●編

著者: 栗原照幸

ページ範囲:P.793 - P.793

 水野美邦先生は,1969年から4年間Chicago,Northwestern大学で神経内科レジデントを体験され,帰朝後それを1冊の本にまとめておきたいという希望から神経内科ハンドブック第1版として1987年に出版された.版を重ねて第4版となり,34名の執筆者によって,最近の知見を盛り込んで2010年3月に出版された.アメリカの神経内科レジデント教育では,成人の神経内科のほか,一定期間ずつ小児神経内科,脳神経外科,精神科,神経放射線,脳波・筋電図,神経病理のローテーションが組まれ,all roundな臨床能力を能率よく3年間で体得できるようプログラムが組まれている.

 神経系はその解剖学的な複雑さから,とっつきにくいと考えられるが,問診をして,発症の仕方(突発性,急性,亜急性,慢性進行性,寛解・増悪の繰り返し等)や病気の経過,家族歴の有無,仕事や環境との関連性などよく話を聞いて,次に神経診察を取り落としなくすると,①主に問診からどのような病態か(血管障害,炎症,代謝・中毒,腫瘍,変性,脱髄),②神経診察所見から神経系の疾患部位を8割がた,明らかにすることができる.問診と診察所見から最も考えられる診断を思いついた後に,多くの鑑別診断も思い浮かべて,神経学的検査法の助けも含めて,最終診断に至るが,この本の副題にもなっている鑑別診断の重要性を編者はよく強調している.図や写真も多く,まとめの表も理解しやすい.重要な参考文献が読書を深めるために十分すぎるほど記載され,最新情報が盛り込まれている.

--------------------

編集後記

著者: 冨永悌二

ページ範囲:P.874 - P.874

 本号の扉に,塩川教授が「まごころの医療」について書いておられる.多言を要さないまさにど真ん中直球とも言うべき内容であり,小生ばかりでなく多くの先生が素直に頷かれると思う.特に若い先生は先端手技を求めるばかりでなく,一般診療科として脳神経外科のcommon diseaseをまずmanageできなければならないというくだりに,異を唱える先生はいないと思う.塩川先生の「まごごろ」という面はゆい言葉を敢えて掲げる真摯さと,自ら率先して「まごころの医療」の範を示していることに敬服いたします.

 総説では「脳動脈瘤発生・増大のメカニズム」と題して,最近の基礎的脳動脈瘤研究が要領よく俯瞰されている.脳神経外科医にとって脳動脈瘤は長い間,クリップで挟むべきふくらみか,コイルを詰めるべき造影剤のプールでしかなかったが,その発生・増大のメカニズムに光があてられると新たな容貌を呈する.近い将来,薬物治療が現実のものとなるかもしれない.患者にとっては大きな福音である.しかしここでも研究すればするほど,手術という己の立ち位置を削っていかなければならない外科医の皮肉について考えさせられる.もう1つの総説も重傷頭部外傷における脳内microdialysisについての労作であり,大変教育的内容である.Microdialysisの原理から臨床応用,筆者らの経験症例まで詳述されており興味深い.

基本情報

Neurological Surgery 脳神経外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1251

印刷版ISSN 0301-2603

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?