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連載 臨床神経心理学入門
第4回 脳卒中
著者: 武田景敏1 河村満1
所属機関: 1昭和大学医学部内科学講座神経内科学部門
ページ範囲:P.851 - P.854
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脳血管障害は神経心理学的症候を呈することが多く,その症候と病巣部位との対応の検討から神経心理学は発展してきた.脳血管障害は急性期に出現し,経過とともに消失する症候や後遺症として残存する症候もあり,時間経過とともに変動する.また,症候が示唆する機能予後を予測するためにもその病態機序を理解することは重要であると考えられる.本稿では脳神経外科で扱われる脳血管障害として,脳出血により知覚転位(alloesthesia)を呈した症例,くも膜下出血後の血管攣縮による梗塞性病変により使用行動(utilization behavior)を呈した症例を呈示し,その神経心理学的症候と病態機序について概説する.
脳血管障害は神経心理学的症候を呈することが多く,その症候と病巣部位との対応の検討から神経心理学は発展してきた.脳血管障害は急性期に出現し,経過とともに消失する症候や後遺症として残存する症候もあり,時間経過とともに変動する.また,症候が示唆する機能予後を予測するためにもその病態機序を理解することは重要であると考えられる.本稿では脳神経外科で扱われる脳血管障害として,脳出血により知覚転位(alloesthesia)を呈した症例,くも膜下出血後の血管攣縮による梗塞性病変により使用行動(utilization behavior)を呈した症例を呈示し,その神経心理学的症候と病態機序について概説する.
参考文献
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