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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科39巻1号

2011年01月発行

文献概要

読者からの手紙

頚動脈内膜剝離術で遭遇した舌下神経の走行破格

著者: 中嶋浩二1 大石敦宣1

所属機関: 1医療法人財団明理会東戸塚記念病院脳神経外科

ページ範囲:P.64 - P.64

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 「これが12番?」

 われわれは驚きの声をあげた.むろん,12番とは第12脳神経,すなわち舌下神経のことである.頚動脈内膜剝離術(carotid endarterectomy:CEA)において,舌下神経の温存・保護は手術成績の向上のために重要な課題である.舌下神経の損傷は,舌の患側偏位,構音障害,嚥下障害を引き起こす.Cunninghamら1)は,CEAによる舌下神経障害の合併率を1.6%と報告した.合併症としての脳神経障害のなかでは最多である.その主な原因は,舌下神経の走行にあると考えられる.舌下神経は,頚部において,はじめは迷走神経および内頚静脈の後外側にあるが,茎突舌骨筋および顎二腹筋後腹の内側で弓状をなして前下方に進み,舌骨舌筋の外側で多くの枝に分かれて舌筋に分布する.経験の浅い術者は,顎二腹筋を牽引して頚動脈遠位部を露出させる際に,近傍を走行する舌下神経を損傷する可能性がある.

参考文献

1)Cunningham EJ, Bond R, Mayberg MR, Warlow CP, Rothwell PM:Risk of persistent cranial nerve injury after carotid endarterectomy. J Neurosurg 101:445-448, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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