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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科39巻1号

2011年01月発行

文献概要

読者からの手紙

Occipitalgiaという医学用語

著者: 北井隆平1 近藤真冶2

所属機関: 1福井大学医学部脳脊髄神経外科 2福井大学医学部応用言語学

ページ範囲:P.78 - P.78

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 先日,国内発行雑誌の英語論文を読んでいて違和感を覚えた.その論文タイトルにsevere occipitalgiaと書かれていたからである.後頭部痛を英語で表記するならばoccipital headacheであり,occipitalgiaなる英語は存在しないと思われる.この表現では後頭部を意味するoccipit-というラテン語由来の語根に,疼痛を表すギリシア語由来の接尾辞-algiaが接続しており,一見医学英語として成り立っているように見える.ラテン語由来の語根に-algiaが接続した例は,abdominalgia(腹痛),costalgia(肋骨痛),dorsalgia(背痛)などいくつかあることも事実である.しかし,どの辞書を探してもoccipitalgiaの記載はない.また,frontalgia,parietalgia,temporalgiaといった表現についても同様の問題を指摘することができる.そこでPubMed searchを利用して,frontalgia,parietalgia,temporalgia,occipitalgiaなる語が使用されている論文を探してみたところ,first authorはわが国に留学している1人を除くとすべて日本人名であった.著者らの施設は日本全体に広がっており,ある地方の医局からこれらの言葉が広がったとの考察は成り立たないようである.学会でのプレゼンテーション,カルテや紹介状にもこのような言葉は散見され,非常に便利な表現ではある.しかしながら,わが国以外ではほとんど使用されていないことを考えると,国際社会に雄飛する後輩たちには標準的な医学表記を教えるべきだと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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