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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科39巻12号

2011年12月発行

文献概要

研究

柔道における重症頭部外傷

著者: 永廣信治18 溝渕佳史1 本藤秀樹2 糟谷英俊38 紙谷武48 新原勇三58 二村雄次68 戸松泰介78

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部脳神経外科 2徳島県立中央病院脳神経外科 3東京女子医科大学東医療センター脳神経外科 4東京厚生年金病院整形外科 5せと山荘クリニック 6愛知県がんセンター 7仁成会高木病院 8全日本柔道連盟医科学委員会

ページ範囲:P.1139 - P.1147

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Ⅰ.はじめに

 スポーツによる頭部外傷は,日本においては柔道やボクシングなどの格闘技,ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツ,スノーボードなどで頻度が高い1-3,6,8,10-13).近年,柔道練習中の頭部外傷による死亡事故が,マスコミなどで相次いで報道されており,社会的にも注目されている12).柔道による頭部外傷が重症化する原因は,ほかのスポーツ外傷と同様に急性硬膜下血腫による場合が多いとされている1,2,6,8,12,13)が,その発生頻度や発生状況,治療と転帰の詳細や対応マニュアルなどに関しては,これまで詳細には報告されていない.2012年度から,中学体育への武道(柔道・剣道・相撲)の必修化に伴い,さらに頭部外傷事故の増加が懸念されており12),今回,全日本柔道連盟(全柔連)の要請を受け,全柔連の「損害補償・見舞金制度」に報告された事故例を解析する機会を得たので,柔道による重症頭部外傷の特徴と対策について検討した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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