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雑誌目次

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科39巻2号

2011年02月発行

雑誌目次

医療事故

著者: 齋藤孝次

ページ範囲:P.113 - P.114

 医療事故は影響の少ないものから生命や機能予後に大きく影響するものまで種々ある.この医療事故を少なくし,より安全な質の高い医療を提供することはわれわれ医療に携わる者にとっての大きな責務である.医療事故を考えてみたとき,取り上げ方により色々なことを考えることができる.1つは医療事故と医療の発展についてである.また,医療事故が医師や医療機関へのバッシング報道として扱われたときの,医師やこれから医師になる学生の進路に対する影響である.また医師と患者の関係についても大きな影響があると考えられる.これらのことについて少し述べたいと思う.

 医療の発展は目覚しいものがあり,とりわけ1970年代の初めにCTが導入され,革命的な変革を遂げた画像診断分野はMRIの開発も加わり相乗効果でますます進歩してきている.手術も内視鏡を利用したものなど,より低侵襲で安全なものに変わってきており,医薬の分野でもよりよい薬が開発され普及してきている.

総説

頭部外傷による高次脳機能障害とその画像診断

著者: 篠田淳 ,   浅野好孝

ページ範囲:P.115 - P.127

Ⅰ.はじめに

 救急医療の進歩により脳外傷,脳血管障害,蘇生後脳症などの重症な器質的脳損傷患者が救命される機会が増加する一方で,急性期を乗り切ったこれらの人たちは記憶・記銘力障害,情動障害,注意障害,社会的行動障害を後遺し家庭生活,社会生活,職場に適応できず疎外される対象となっていた.日本政府はこの問題を重視し,このような人たちに高次脳機能障害という傷病名を付け身体障害者,知的障害者,精神障害者と同等の「障害者」として行政支援の対象とすることにより,彼らの自立と社会参加に向け包括的な取り組みを開始した24,44).その取り組みの中で厚生労働省は平成13年度からの5年間,高次脳機能障害支援モデル事業を展開し高次脳機能障害の診断基準と支援プログラム(リハビリテーション,生活指導,就労・就学支援)を確立した24).この事業は平成18年度から高次脳機能障害支援普及事業に引き継がれ,以後全国各都道府県に相談窓口が設置され,同時期に成立した障害者自立支援法を背景に患者は障害者としての行政支援が受けられるようになった14,24-26,44,45).現在,高次脳機能障害者は精神福祉手帳を取得し行政支援を受けることが可能であるが,精神福祉手帳を取得しなくても高次脳機能障害の診断証明のみで手帳取得者とほぼ同等の支援を受けることも可能である16,43)

 わが国の高次脳機能障害支援普及事業は未だ緒に就いたところであり,高次脳機能障害という用語の理解についても混乱がある.本稿では現在わが国で用いられる高次脳機能障害の定義と診断基準を解説し,その基準に準拠する高次脳機能障害の診断を行うために有用な神経画像の最新の知見について論ずる.

解剖を中心とした脳神経手術手技

部分血栓化巨大中大脳動脈瘤に対する手術

著者: 髙橋淳 ,   宮本享

ページ範囲:P.129 - P.139

Ⅰ.はじめに

 部分血栓化巨大脳動脈瘤は脳血管外科領域におけるchallengingな疾患の1つである.中大脳動脈は本疾患最大の好発部位であるが,しばしば内腔血栓中を血流チャンネルが蛇行するgiant serpentine aneurysm(GSA)の形態をとる.現在,治療法の第一選択は血行再建術を併用した瘤内血流遮断とされるが,実際には各症例に固有のさまざまな問題点が存在し,さらに解剖学的なvariationが多彩で画一的な対応は難しい.しかし症候化した部分血栓化巨大脳動脈瘤の予後は悪く,消極的な姿勢は正当化されない.本稿では部分血栓化巨大中大脳動脈瘤,なかでも主流を占める中大脳動脈GSAに関する知識,治療デザインとその手術手技について解説する.またこれまで文献上ほとんど語られていない,母血管閉塞時の盲端形成の問題点についても触れたい.

研究

下垂体腫瘍に対する顕微鏡手術から内視鏡手術へ--同一術者による治療成績の比較

著者: 岩井謙育 ,   吉村政樹 ,   寺田愛子 ,   山中一浩 ,   古下尚美

ページ範囲:P.141 - P.147

Ⅰ.はじめに

 下垂体腫瘍に対する手術は,Hardyらによる口唇下切開による経蝶形骨洞到達法による顕微鏡下の手術18)から始まり,顕微鏡下の経鼻的手術10,16,39),さらに近年では顕微鏡手術に比してより広い視野が得られる32)内視鏡手術が導入されてきている.内視鏡手術にも,内視鏡を顕微鏡手術の補助として使用する方法15,23),さらに内視鏡単独手術として,鼻鏡を使用した内視鏡手術2,36),鼻鏡を使用しない内視鏡単独手術4,11,24)がある.さらに内視鏡単独手術にも,一側の鼻腔経由24)と両側鼻腔経由にて行う方法4,6,11,28,37)がある.われわれは,2003年に内視鏡手術を導入し,徐々に従来の口唇下切開による顕微鏡手術から,両側鼻腔経由の内視鏡手術へと移行してきた22).内視鏡単独手術は,顕微鏡手術に比して摘出度が高く,合併症率が低いとの報告もあるが11,13),顕微鏡手術と内視鏡手術の治療成績を比較した報告は少ない11,13,33).今回,同一術者による顕微鏡手術から内視鏡手術への移行に伴う,治療成績,合併症などを比較し,内視鏡手術の有用性を検討した.

症例

頚動脈ステント留置術後の過灌流症候群のモニタリングに経頭蓋カラードプラ検査による左右比が有用であった1例

著者: 河野健一 ,   湧川佳幸 ,   卯田健 ,   矢坂正弘 ,   岡田靖 ,   詠田眞治

ページ範囲:P.149 - P.154

Ⅰ.はじめに

 頚動脈内膜剝離術(carotid endarterectomy:CEA)や頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting:CAS)後の過灌流症候群の頻度は低いが致死的な頭蓋内出血につながるため,早期の発症予測や発症時の周術期管理が重要となる.過灌流のモニタリングとして経頭蓋カラードプラ(transcranial color-coded sonography:TCCS)による患側の中大脳動脈(middle cerebral artery:MCA)の平均血流速度の術前値との比(術前比)が有用である1).今回,われわれはCAS後過灌流症候群のモニタリングとしてTCCSを使用し術前比に加え左右比も考慮することにより,有効な周術期管理を行い得た症例を経験したので報告する.われわれが渉猟し得た限りでは,TCCSの左右比の有用性を示したのは本論文が初めてである.

眼窩先端部症候群で発症し内頚動脈浸潤した副鼻腔真菌症の3症例

著者: 杉山拓 ,   黒田敏 ,   中山若樹 ,   寳金清博

ページ範囲:P.155 - P.161

Ⅰ.はじめに

 近年,ステロイドや抗悪性腫瘍薬での免疫抑制状態患者の増加を背景に,深在性真菌症の発生頻度は増加してきている14).なかでも浸潤型アスペルギルス症やムコール症などは,比較的稀に副鼻腔炎から,粘膜や骨を破壊し,直接眼窩内や頭蓋底に浸潤8,12,16)することがあり,海綿静脈洞部内頚動脈浸潤から,脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を合併することがあり,注意すべき病態である.

 今回われわれは,眼窩先端部症候群(orbital apex syndrome)にて発症し,その後比較的急速な経過で海綿静脈洞部内頚動脈浸潤を生じ,結果的に脳梗塞や出血を合併することで不幸な転帰を辿った頭蓋内真菌症の3症例を経験した.本稿では,これらの症例を呈示し,文献的考察を加え報告する.

囊状変性を伴った側頭骨線維性骨異形成症の1例

著者: 堤佐斗志 ,   安本幸正 ,   伊藤昌徳

ページ範囲:P.163 - P.168

Ⅰ.はじめに

 線維性骨異形成症(fibrous dysplasia:FD)は頭蓋顔面骨に発生する最も一般的な良性腫瘍である.正常骨髄が徐々に異常な線維性結合織に置き換わっていく結果,FDが形成されると考えられているが,その成因は不明である.FDは臨床上単一骨を侵し全体の多くを占めるmonostotic formと,複数骨を障害し稀なpolyostotic formに分類されている1).頭蓋顔面骨FDに最も頻度の高い臨床所見は顔面の非対称(86%)である.前頭骨が最も障害されやすく,次いで蝶形骨が侵されやすい8).脳神経に対する圧排,伸展,絞扼などによる各種脳神経症状,美容面での問題を生じ得るが,一般に手術成績は良好である7).約0.5%で悪性転化するが,その多くはMcCune-Albright症候群と関連したpolyostotic formに起こると考えられている1).無症候性のFDが経過中に囊状変性(cyst degeneration)を起こし急激発症することがあるが,頭蓋骨での報告は稀である1).囊状変性を起こしたFDの場合,巨細胞腫,軟骨芽細胞腫,血管腫,動脈瘤様骨囊腫などとの鑑別が問題となる2-5).今回われわれは囊状変性を来し痛みで発症した前頭骨monostotic FDの症例を経験したので,発症機序の考察を含め報告する.

同側内頚動脈から後交通動脈を経由して塞栓術を施行した破裂後大脳動脈瘤の1例

著者: 山口慎也 ,   伊藤理 ,   今本尚之 ,   村田秀樹 ,   前田善久 ,   由比文顕 ,   名取良弘 ,   松角宏一郎

ページ範囲:P.171 - P.176

Ⅰ.はじめに

 後大脳動脈瘤は頻度1%前後6,8,13,18)の比較的稀な動脈瘤である.手術加療の際には,動脈瘤の位置,高さなどによりさまざまなアプローチが選択されるが,側頭葉の挙上やvein of Labbéなどの影響で術野が制限されることも多い.解剖学的に開頭手術に困難が見込まれる場合,塞栓術が有効である可能性があり,後大脳動脈瘤に対する塞栓術の有効性を示す報告1,2,7,15,18)も散見される.だが,これらの塞栓術はそのほとんどが椎骨脳底動脈をaccess routeとしている.後大脳動脈瘤の塞栓術を検討する際,椎骨脳底動脈系のaccess routeに問題があり後交通動脈(posterior communicating artery:PCoA)が胎児型であった場合は,内頚動脈からPCoAを介した塞栓術が有効であると考えられる.

 今回われわれは塞栓術にて加療を行った破裂後大脳動脈瘤を経験した.Vein of Labbéの発達が著明であったため塞栓術を選択したが,動脈瘤proximalのP1がhypoplastyであったため,右内頚動脈からPCoAを介したaccess routeを選択し良好な塞栓術を施行し得た.その有効性や治療の留意点などに関してこれまでの文献考察を加え報告する.

読者からの手紙

「Orbitozygomatic approachにおける顔面神経損傷を防ぐための微小解剖」の論文(38(8):703-713)について

著者: 清水曉

ページ範囲:P.178 - P.178

 野口明男先生らの「Orbitozygomatic approachにおける顔面神経損傷を防ぐための微小解剖」(No Shinkei Geka 38:703-713)を興味深く拝読いたしました.同アプローチで顔面神経損傷を回避して頬骨弓へ達する方法としてsubfascial dissection(deep temporal fascia裏面を剝離し,この筋膜から頬骨弓の裏面に連続するdeep laminaを辿り,deep laminaを切開し頬骨弓を露出)を推奨されています.最表層の脂肪層(fibrofatty system)を走行する顔面神経temporal branchから隔絶された層で剝離するため安全である旨には賛同いたしますが,この方法にもかかわらず部分的な表情筋麻痺を生じた例の経験があります.一過性の前頭筋麻痺であり他の顔面神経temporal branch支配筋に麻痺はみられませんでした.Ammiratiらの解剖研究にはa few times, we observed a sizable twig of the middle division of the temporal branch of the facial nerve(frontal ramus)going into the intrafascial space and then entering the frontalis muscleとの記載があり1),走行が深くなるこのaberrant twig (Fig.)がinterfascial fat pad内で損傷された結果の前頭筋麻痺を疑いました.この例では従来どおり頬骨弓上縁を触知しながらdeep laminaを切開したつもりでしたが,aberrant twigに近接する頭側寄りの切開 (Fig.矢印)となったのかもしれません.以後の症例ではこの破格を想定し,解剖学的により安全であろう頬骨弓上縁の裏側での切開(Fig.矢頭)を心掛けております.筆者らは,この破格の存在に懐疑的意見を述べておられますが,上記経験からは存在することもありそうで,subfascial dissectionにおいても留意すべきであろうことをお伝えしたくお便りさせていただきます.

清水先生への回答

著者: 野口明男

ページ範囲:P.179 - P.179

 貴重なご意見,また症例経験のご報告ありがとうございます.先生のご意見に対するお答えですが,まず筆者らが顔面神経損傷を防ぐ手術アプローチで推奨しているのは本文の図でもお示ししているように,顔面神経からより遠いfat padすなわちdeep temporal fad padの利用方法です.これは皮切後zygomatic archに到達する進入路は側頭筋上となります(翻転するのは皮膚と浅および深側頭筋膜).よってaberrant twigの存在があってもinterfascial fat padを直視下に置くことはないので(もしくは進入することはあり得ないので)神経の損傷を防ぐことが可能と考えています.この点では清水先生の意見と一致するようです.また筆者の限られた経験で恐縮ですが臨床の場もしくは屍体解剖標本でaberrant twigに出合ったことはありません.経験則のみで存在を否定するつもりはありませんが,術中interfascial dissectionを間違いなく行っていてもその後の顔面神経麻痺に出くわすことは多々あり,これはaberrant twigであってもなくても,特に日本人の場合interfascial fat padが非常に薄いため,皮膚翻転時に神経をフックで圧迫している可能性が高いと考えています(翻転時に脂肪が神経を保護できない).この場合は圧迫だけですので3カ月から半年もすれば回復する傾向にあります.また脂肪層が薄いことでのもう1つの欠点は,術中無意識にdeep temporal fasciaのsuperficial lamina上にいる場合があり,この場合は直接損傷する可能性が高く永久麻痺を起こすことがあり得ます.これらの理由から現時点ではorbitozygomatic approachを行う際interfascial fat padを利用するのは避けたほうが得策と考えています.またこれらいずれの場合でもfrontal brunchのみの麻痺を起こすことがあり,この場合は額の皺に左右差が出ます.先生のご指摘に従い,今後aberrant twigの存在にも十分注意しながら手術を行いたいと存じます.貴重なご意見ありがとうございました.

連載 臨床神経心理学入門【最終回】

第9回 脳神経外科医に役立つ神経心理学的検査の知識

著者: 川合圭成 ,   河村満

ページ範囲:P.181 - P.188

Ⅰ.はじめに

 神経心理学的検査とは,課題に対する被験者の反応を得点化する心理検査のうち,脳損傷による高次脳機能障害の診断と評価に用いられるものである7).その評価の目的によりさまざまな検査が開発されているため,その目的により使い分けることが望ましいが,実際には困難が伴うことが多い.本稿では,神経心理学的検査を,①スクリーニング検査,②専門的検査,に分けて述べることにする.スクリーニング検査については,神経心理学検査の内容,検査の選択,解釈などについて,専門的検査についてはその概要についてまとめる.

先天奇形シリーズ

(3)中脳水道狭窄症

著者: 田代弦

ページ範囲:P.189 - P.201

Ⅰ.概説

 中脳水道狭窄症は,先天性と後天性に大別されるが,いずれも髄液循環を妨げるため,次第に閉塞性水頭症を呈してくる.その水頭症の画像的特徴は,側脳室から第三脳室までの拡張に反して第四脳室の非拡張であり,その所見は正中矢状断T1強調MRI(Fig. 1)で確かめられるとともに,後に述べる造影剤の注入による直接的な中脳水道前後の脳室造影でも確認できる.臨床的には,中脳水道の狭窄による髄液循環のうっ滞で,上流にある側脳室・第三脳室の内圧が上昇し,ある限界点に達すると髄液が一気に中脳水道を押し開いて流れることを反復するようである.このため,急性の水頭症とはならず,慢性的に内圧の上下動を繰り返しながら,上流脳室の拡張を引き起こしてくると考えられている.また,MRIでは開存しているように見えるが,実際には中脳水道前後を髄液が行ったり来たりしている機能的狭窄も臨床的には存在しているようである.

 先天性中脳水道狭窄症は,先天性水頭症の2/3に認められ,その主な原因の1つとなっている.Milhoratはその分類を①Forking,②Gliosis,③真性狭窄,④中隔形成の4つに分け,頻度は①,②がほぼ半数ずつを占めると報告している3)(Table 1).

脳神経外科保険診療の展望・2

医療保険審査のシステムについて--脳神経外科を中心に

著者: 井澤正博

ページ範囲:P.203 - P.211

Ⅰ.はじめに

 わが国の医療の根本は他に類をみない確立された国民皆保険制度である.

 国民は,普遍的かつ平等に医療を受けることができ,診療にあたる医師は独自の裁量権で個々の患者に合った医療を提供することができる.一方で,昨今の国全体の経済状態の悪化,高齢者の増加と相反して,医療の高度化,複雑化,低侵襲化などが進んできており,保険診療と実際の臨床医療との間に微妙なギャップが少なからず存在する場合がある.特に高度な医療を行っている脳神経外科の領域では大きな問題である.

 現行の保険医療制度のもとでは,厳然たる基本ルールがあり,保険診療を考慮しない臨床医療は問題外である,したがって多くの脳神経外科医にとっても実際の臨床の場では,保険診療について理解しておくことが必要である.

 今回は保険診療のうち,特に保険審査を中心に概説する.

書評

『標準組織学 各論 第4版』--藤田尚男・藤田恒夫●著

著者: 山浦晶

ページ範囲:P.201 - P.201

 はからずも『標準組織学 各論 第4版』(医学書院)の書評を書くことになった.私の学生時代に名物教授が担当する組織学は難関のひとつであり,厳格に勉強させられたものだが,以来ほぼ半世紀を経て,組織学教科書の書評とは不思議な縁である.

 ことの発端は,脳神経外科医でかつ童話作家の藤原一枝氏が,脳神経外科では脳脊髄液の排出については,「arachnoid granulationから静脈洞を経由して大循環に還流する」とされているようだが,これは誤りではないかと,文献付きで指摘されたことにある.藤原氏の示す文献を読むと,確かに私どもの(私だけかも知れないが)思い込みであり誤りであったようだ.

報告記

第10回韓日友好脳卒中の外科カンファレンス報告記(2010年10月8~9日)

著者: 林健太郎

ページ範囲:P.212 - P.213

 第10回韓日友好脳卒中の外科カンファレンス(The 10th Korean and Japanese Friendship Conference on Surgery for Cerebral Stroke 会長:永田泉)を主催させていただきましたので,報告させていただきます.

第60回米国神経外科コングレス報告記(2010年10月16~21日)

著者: 黒田敏

ページ範囲:P.214 - P.215

 米国神経外科コングレス(CNS)は,メンバーである神経外科医を対象として教育や情報交換を通して神経外科の分野を発展させることを目的に結成されています.現在,米国内外に7,000名あまりの会員を擁しています.最初の会議は1951年11月にMemphisでDr.Schultzをpresidentとして開催されており,今回の会議で開催された会議は60回を数えております.

 今回の会議は2010年10月16~21日の間,Emory UniversityのProf.Rodtsがpresidentを務めてSan Franciscoで開催されました.今回,当大学からは寳金清博教授,若手の川堀真人先生と伊東雅基先生,小生が渡米し,現在,当大学からUCSFに留学中の穂刈正昭先生とともに参加しました.

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欧文目次

ページ範囲:P.111 - P.111

お知らせ

ページ範囲:P.147 - P.147

お知らせ

ページ範囲:P.154 - P.154

ご案内 第30回The Mt.Fuji Workshop on CVD

ページ範囲:P.188 - P.188

会  期 2011年8月27日(土)

会  場 ロイトン札幌(〒060-0001 北海道札幌市中央区北1条西11丁目 TEL. 011-271-2711)

投稿ならびに執筆規定

ページ範囲:P.218 - P.218

投稿および著作財産権譲渡承諾書

ページ範囲:P.219 - P.220

略語および度量衡単位について

ページ範囲:P.221 - P.221

次号予告

ページ範囲:P.223 - P.223

編集後記

著者: 𠮷田一成

ページ範囲:P.224 - P.224

 本号の「扉」は,「医療事故」がテーマである.先日,今は野党となったある大物政治家にお会いする機会があり,あいさつの中で,「政治が最も大切である」と仰っておられた.私も確かにその通りであると申し上げた.脳神経外科領域では,医療事故が起こると,深刻な結果をもたらす.それでは,医療事故と,治療成績,手術成績とは,どのような立ち位置にあるのだろうか.難易度の高い手術となると,手術成績として,morbidity,mortalityが指標となる.これが,もし医療過誤ということになると,業務上過失致傷,過失致死,という重罪となってしまう.医療に特化した法律がなく,刑法で裁かれるからである.これは,明らかに政治家の怠慢である.その後ある政治家は,出産に際して妊婦が死亡したことにより逮捕された産科医が無罪になったことを受けて,当面法律はこのままにしておこうということになっていると話していた.これが日本の現状である.「扉」で齋藤孝次先生は,医療事故とは何かということに始まり,マスコミの功罪,医師の過重労働,訴訟など,多くの問題を提起している.これらを解決するには,政治を動かすことも必要なのだろうか.

基本情報

Neurological Surgery 脳神経外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1251

印刷版ISSN 0301-2603

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