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読者からの手紙
「Orbitozygomatic approachにおける顔面神経損傷を防ぐための微小解剖」の論文(38(8):703-713)について
著者: 清水曉1
所属機関: 1横浜市立脳血管医療センター脳神経外科
ページ範囲:P.178 - P.178
文献購入ページに移動 野口明男先生らの「Orbitozygomatic approachにおける顔面神経損傷を防ぐための微小解剖」(No Shinkei Geka 38:703-713)を興味深く拝読いたしました.同アプローチで顔面神経損傷を回避して頬骨弓へ達する方法としてsubfascial dissection(deep temporal fascia裏面を剝離し,この筋膜から頬骨弓の裏面に連続するdeep laminaを辿り,deep laminaを切開し頬骨弓を露出)を推奨されています.最表層の脂肪層(fibrofatty system)を走行する顔面神経temporal branchから隔絶された層で剝離するため安全である旨には賛同いたしますが,この方法にもかかわらず部分的な表情筋麻痺を生じた例の経験があります.一過性の前頭筋麻痺であり他の顔面神経temporal branch支配筋に麻痺はみられませんでした.Ammiratiらの解剖研究にはa few times, we observed a sizable twig of the middle division of the temporal branch of the facial nerve(frontal ramus)going into the intrafascial space and then entering the frontalis muscleとの記載があり1),走行が深くなるこのaberrant twig (Fig.)がinterfascial fat pad内で損傷された結果の前頭筋麻痺を疑いました.この例では従来どおり頬骨弓上縁を触知しながらdeep laminaを切開したつもりでしたが,aberrant twigに近接する頭側寄りの切開 (Fig.矢印)となったのかもしれません.以後の症例ではこの破格を想定し,解剖学的により安全であろう頬骨弓上縁の裏側での切開(Fig.矢頭)を心掛けております.筆者らは,この破格の存在に懐疑的意見を述べておられますが,上記経験からは存在することもありそうで,subfascial dissectionにおいても留意すべきであろうことをお伝えしたくお便りさせていただきます.
参考文献
1)Ammirati M, Spallone A, Ma J, Cheatham M, Becker D:An anatomicosurgical study of the temporal branch of the facial nerve. Neurosurgery 33:1038-1044, 1993
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