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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科39巻2号

2011年02月発行

文献概要

読者からの手紙

清水先生への回答

著者: 野口明男1

所属機関: 1杏林大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.179 - P.179

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 貴重なご意見,また症例経験のご報告ありがとうございます.先生のご意見に対するお答えですが,まず筆者らが顔面神経損傷を防ぐ手術アプローチで推奨しているのは本文の図でもお示ししているように,顔面神経からより遠いfat padすなわちdeep temporal fad padの利用方法です.これは皮切後zygomatic archに到達する進入路は側頭筋上となります(翻転するのは皮膚と浅および深側頭筋膜).よってaberrant twigの存在があってもinterfascial fat padを直視下に置くことはないので(もしくは進入することはあり得ないので)神経の損傷を防ぐことが可能と考えています.この点では清水先生の意見と一致するようです.また筆者の限られた経験で恐縮ですが臨床の場もしくは屍体解剖標本でaberrant twigに出合ったことはありません.経験則のみで存在を否定するつもりはありませんが,術中interfascial dissectionを間違いなく行っていてもその後の顔面神経麻痺に出くわすことは多々あり,これはaberrant twigであってもなくても,特に日本人の場合interfascial fat padが非常に薄いため,皮膚翻転時に神経をフックで圧迫している可能性が高いと考えています(翻転時に脂肪が神経を保護できない).この場合は圧迫だけですので3カ月から半年もすれば回復する傾向にあります.また脂肪層が薄いことでのもう1つの欠点は,術中無意識にdeep temporal fasciaのsuperficial lamina上にいる場合があり,この場合は直接損傷する可能性が高く永久麻痺を起こすことがあり得ます.これらの理由から現時点ではorbitozygomatic approachを行う際interfascial fat padを利用するのは避けたほうが得策と考えています.またこれらいずれの場合でもfrontal brunchのみの麻痺を起こすことがあり,この場合は額の皺に左右差が出ます.先生のご指摘に従い,今後aberrant twigの存在にも十分注意しながら手術を行いたいと存じます.貴重なご意見ありがとうございました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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