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連載 先天奇形シリーズ
(3)中脳水道狭窄症
著者: 田代弦1
所属機関: 1静岡県立こども病院脳神経外科
ページ範囲:P.189 - P.201
文献購入ページに移動中脳水道狭窄症は,先天性と後天性に大別されるが,いずれも髄液循環を妨げるため,次第に閉塞性水頭症を呈してくる.その水頭症の画像的特徴は,側脳室から第三脳室までの拡張に反して第四脳室の非拡張であり,その所見は正中矢状断T1強調MRI(Fig. 1)で確かめられるとともに,後に述べる造影剤の注入による直接的な中脳水道前後の脳室造影でも確認できる.臨床的には,中脳水道の狭窄による髄液循環のうっ滞で,上流にある側脳室・第三脳室の内圧が上昇し,ある限界点に達すると髄液が一気に中脳水道を押し開いて流れることを反復するようである.このため,急性の水頭症とはならず,慢性的に内圧の上下動を繰り返しながら,上流脳室の拡張を引き起こしてくると考えられている.また,MRIでは開存しているように見えるが,実際には中脳水道前後を髄液が行ったり来たりしている機能的狭窄も臨床的には存在しているようである.
先天性中脳水道狭窄症は,先天性水頭症の2/3に認められ,その主な原因の1つとなっている.Milhoratはその分類を①Forking,②Gliosis,③真性狭窄,④中隔形成の4つに分け,頻度は①,②がほぼ半数ずつを占めると報告している3)(Table 1).
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