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世阿弥の「稽古哲学」に学ぶ脳神経外科学の訓練
著者: 橋本卓雄1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.227 - P.228
文献購入ページに移動日本の伝統的な芸能である能は,観阿弥,世阿弥の時代から現在まで600年以上にわたり脈々と続いている.世阿弥が書き残した,『風姿花伝』,『花鏡』,『伝書』には「いかにして伝統芸能が生き残るか」「どのように伝統を守り,代を重ね,代を乗り越え知と技を蓄積していくか」の厳しい心構えが書かれている.これらの書物は後継者向けのマニュアルではなく,すでに芸を完成したプロフェッショナルの人間に問いかけているように思える.最近,西平直著『世阿弥の稽古哲学』(東京大学出版会,2009年刊)を読んだ.教育学の立場から世阿弥の言葉を見直しているが,能にまったくの「目利かず」の私にも,あらためて脳神経外科の訓練が『世阿弥の稽古哲学』に学ぶ多くの点があることに気づいた.
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