icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科39巻5号

2011年05月発行

文献概要

症例

自家頭蓋分層骨とリン酸カルシウムペーストを併用した頭蓋形成術

著者: 鴨嶋雄大1 寺坂俊介1 小山明彦2 寳金清博1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科脳神経外科 2北海道大学大学院医学研究科形成外科

ページ範囲:P.491 - P.495

文献購入ページに移動
Ⅰ.はじめに

 頭蓋骨欠損部に対する再建材料は,大きく自家組織(自家骨),人工骨に分けられる.自家骨は人工骨に対し感染に強く優れた再建材料であるが,採取部位への侵襲,採取骨の形状,移植部位に対する組織刺激性など少なからず問題も認められる1,7,10).一方チタンメッシュプレートやハイドロキシアパタイトに代表される人工骨は自家骨に比べ感染には弱いものの,材料の特徴を理解し使用することで手術侵襲の軽減が可能であり有用な再建材料となり得る.これら頭蓋再建材料の選択は各症例において経過を左右する重要なポイントであり,術前に十分な検討が必要である.今回われわれは交通外傷に伴い髄液漏を発症した前頭部骨欠損症例に対し,自家頭頂分層骨,リン酸カルシウムペースト(バイオペックス-R®)を併用し頭蓋再建を行った症例を経験した.短期経過観察期間において,両者の組み合わせにより美容的,機能的に良好な結果が得られたので,頭蓋形成方法の一選択肢として施行上の注意点など若干の文献的考察を加えて報告する.

参考文献

1)Elisevich K, Bite U:En block forehead reconstruction with split-thickness cranial bone. Surg Neurol 35:384-388, 1991
2)平野昌弘,竹内啓泰,浅岡伸之:リン酸カルシウム骨ペーストの開発.Journal of the Society of Inorganic Materials 9:44-50, 2002
-R)を用いた頭蓋顎顔面領域の広範陥凹・凹凸変形の修正法.日形会誌25:383-392, 2005
4)小林一夫,緒方茂寛,石原博史,徳永和代,中島光子,槙野祥生: 開頭術後変形に対するリン酸カルシウム骨ペーストの使用経験.形成外科47:631-635, 2004
5)Marchac D, Greensmith A:Long-term experience with methylmethacrylate cranioplasty in craniofacial surgery. J Plast Reconstr Aesthet Surg 61:744-752, 2008
6)Staffa G, Nataloni A, Compagnone C, Servadei F:Custom made cranioplasty prostheses in porous hydroxy-apatite using 3D design techniques:7 years experience in 25 patients. Acta Neurochir (Wien) 149:161-170, 2007
7)Stal S, Netscher DT, Shenaq S, Spira M:Reconstruction of calvarial defects. South Med J 85:812-819, 1992
8)Simpson D:TITANIUM IN CRANIOPLASTY. J Neurosurg 22:292-293, 1965
9)田邊裕治,内山貴典:リン酸カルシウム骨ペーストの力学的特性評価.Medical Postgraduates 44:70-73, 2006
10)Tessier P:Autogenous bone grafts taken from the calvarium for facial and cranial applications. Clin Plast Surg 9:531-538, 1982
11)辻 直子,菅原康志,宇田宏一,菅 浩隆,舘 一史:リン酸カルシウムペーストによる頭蓋顎顔面領域の再建.形成外科48:541-548, 2005
12)山本晴彦:リン酸カルシウムの臨床応用のための基礎研究.愛知医科大学医学雑誌25:219-229, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?