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雑誌目次

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科39巻6号

2011年06月発行

雑誌目次

脳神経外科医の養成とリクルート

著者: 松村明

ページ範囲:P.541 - P.542

 ここ数年,脳神経外科の研修および医師の卒後臨床研修全体にかかわることが多くなってきている.初期臨床研修制度については小川彰先生,嘉山孝正先生はじめ諸先輩方のご尽力によって将来の専門診療へのステップとしての研修の改正案がまとまり,昨年度から実施されている.それまでは全員が必修として内科,外科のほかに小児科,産婦人科,精神科を研修しなければならなかったが,プログラムによっては4週間しかなく,まるで学生実習なみのカリキュラムだという声も聞かれた.今回の改正によって上記3診療科は選択必修ということになり,必ずしも全員が回る必要がなくなった.その代わりに選択科目は増えて,研修医が将来の自分の専門に役立つ診療科を選択できるようになり,幅広い診療能力を有する専門医養成のカリキュラムが見えてきたところである.

 私どもの施設でも初期研修プログラムの改正にあたり,これまでのレジデントへのアンケートやヒアリングなどを参考にして研修委員会で検討した結果,将来どの診療科に進むにしても初期研修中に1度は外科系,小児科系を回ることを義務化した.また,放射線診断,病理を初期研修のうちに回ることも奨励し,基本的な画像診断能力を身につけたり,自分で必ず病理組織をみる癖をつけるための基本的能力を獲得させようという目標も設けた.

総説

Branch atheromatous disease(BAD)の病態と治療

著者: 星野晴彦 ,   鈴木則宏

ページ範囲:P.543 - P.551

Ⅰ.はじめに

 急性期に穿通枝領域に特徴的な梗塞巣を呈するbranch atheromatous disease(BAD)は治療抵抗性に進行性脳卒中を呈する場合が多く,急性期画像診断の進歩とともに注目されている病態である.しかし,BADはわが国で多くの臨床報告がなされているが,国際的には病型としては未だに確立されていないのが現状である.

 また,わが国ではBADを臨床的に発症直後から進行性の経過をとる脳梗塞として,臨床経過までを含めて定義して使用されることも多く,その概念には混乱がみられる.われわれは,J-BAD Registryとして,BADを放射線学的画像により定義してその臨床的特徴や危険因子を検討した11).その結果を中心にBADについて概説する.

解剖を中心とした脳神経手術手技

鞍結節髄膜腫に対する手術到達法の選択―高位か低位か?

著者: 寺坂俊介 ,   小林浩之 ,   寳金清博

ページ範囲:P.553 - P.562

Ⅰ.はじめに

 鞍結節髄膜腫は鞍結節や視神経交叉溝から発生する髄膜腫で,その発生頻度は頭蓋内髄膜腫の3~10%といわれている1,19,20,26,38).多くの患者は片側,もしくは両側の視力低下や視野障害を呈し視機能の悪化が唯一の症状であることも少なくない.視機能の温存もしくは改善が手術の最大の目的となるが,過去の報告でも約20%に術後の視機能悪化例が発生するといわれている2,6,10,16,27,32,35-37).術後視機能の予後不良因子として腫瘍径,術前の視機能,罹病期間,手術到達法などが検討されているが未だ結論は出ていない10,13,16,29,44).しかし本疾患において手術操作が術後の視機能の結果に何らかの影響を与えていることは多くの術者の共通認識である.視機能悪化の原因としては視神経そのものに対する直接損傷と視神経・視交叉への栄養血管損傷の一方もしくは両方が関与していると考えられている6,10,19,36)

 鞍結節髄膜腫では腫瘍の発生母地や進展形式から視神経は外上方へ,視交叉は後上方へ変位していることが多い.視神経や視交叉を上方へ圧迫,変位させる髄膜腫は鞍結節髄膜腫と鞍隔膜髄膜腫のみである.視神経管内では可動性の乏しい視神経が脳槽部では外上方に大きく変位するため視神経管入口部では視神経が菲薄化し,ときに屈曲している場合もある.視神経の直接損傷を回避するために腫瘍の適切な内減圧とともに腫瘍剝離操作前(手術早期)の視神経管開放を強調する報告も多い29,30,33,34).発生母地は近いが前床突起髄膜腫や蝶形骨縁内側髄膜腫,蝶形骨平面髄膜腫はいずれも視神経や視交叉を下方に変位させる.これらは腫瘍の大きさに比して視機能低下の程度が軽く,術中所見でも視神経の形態が正常に近い形で保たれていることが多い.腫瘍が視神経や視交叉の上方に位置するか,下方に位置するかは栄養血管の温存という側面からも重要である.内頚動脈から分岐した眼動脈と上下垂体動脈はいずれも視神経や視交叉の下面から栄養血管を分岐する.鞍結節髄膜腫の手術では視神経や視交叉下面から腫瘍を剝離する操作が多く,その際に栄養血管を損傷する危険性は低くない36).一方視神経・視交叉上面と腫瘍との剝離が主となる蝶形骨平面髄膜腫などでは神経の直接損傷はあっても栄養血管損傷の可能性は低くなる.くも膜を温存しての腫瘍摘出(くも膜外摘出)は髄膜腫手術の基本であるが,本疾患においても視神経周囲のくも膜を温存できれば術後視機能低下の可能性は格段に低くなる.一見視神経が全周性に腫瘍に内包されているように見えても,十分な腫瘍の内減圧がなされると視神経と腫瘍の間にくも膜面が見えてくることはよく経験することである.

 鞍結節髄膜腫に対する手術到達法にはさまざまな工夫や変法が報告されているが経頭蓋経由(上方)は,①pterional transsylvian approach,②unilateral subfrontal approach,③bicoronal subfrontal approach,④anterior interhemispheric approachの4つに大別される.下方からの手術到達法は拡大蝶形骨洞到達法で,ここ2,3年の報告は極めて多い.

 鞍結節髄膜腫に対する術前検査,手術到達法の選択,高位到達法としてanterior interhemispheric approach 14,17,36,43),低位到達法として拡大蝶形骨洞到達法5,7-9,11,12,15)の手術手技とピットフォールに関して詳述する.

研究

頚動脈内膜剝離術におけるICG螢光血管撮影を用いたプラーク遠位端の確認とそのpitfall

著者: 大川将和 ,   安部洋 ,   平田陽子 ,   竹本光一郎 ,   岩朝光利 ,   東登志夫 ,   井上亨

ページ範囲:P.563 - P.568

Ⅰ.はじめに

 脳神経外科領域におけるインドシアニングリーン(indocyanine green;ICG)の螢光特性を利用した術中螢光血管造影の有用性がRaabeら4)により報告されて以降,浅側頭動脈─中大脳動脈吻合術6),脳動脈瘤クリッピング術3)などに有用性が報告されている.ICG videoangiography(ICG-VA)は,静脈注射のみで施行可能であり,短時間で評価できるため今後もますます発展していくと思われるが,頚動脈内膜剝離術における有用性を報告した文献は未だ少数である2,6)

 頚動脈内膜剝離術(carotid endarterectomy:CEA)においては,内頚動脈遠位部をプラークの存在しない部位まで十分剝離することが重要であるが,外表からの観察でプラークの遠位端を正確に同定することは困難である.われわれは動脈切開前にICG-VAを行い,プラーク遠位端を確認し得たので,その有用性およびpitfallを報告する.

肺癌からの転移性脳腫瘍におけるEGFR遺伝子変異とgefitinibの有効性

著者: 小野恭裕 ,   豊田康則 ,   豊嶋敦彦 ,   蔵本智士 ,   勝間田篤 ,   河内正光 ,   松本祐蔵

ページ範囲:P.569 - P.574

Ⅰ.はじめに

 肺癌からの脳転移の多くは,一部の腫瘍を除いて一般に化学療法が奏効しにくいため,最近まで手術摘出と放射線治療が主たる治療手段であった.最近,原発巣の非小細胞肺癌に対して上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)遺伝子変異(以下,EGFR変異)をもつ症例に関してはEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(tyrosine kinase inhibitor:TKI)の有効性が示唆されている6,7,11).今回,われわれは非小細胞肺癌の転移性脳腫瘍においてEGFR変異とEGFR-TKIの初期治療としての抗腫瘍効果について検討を行った.

症例

多角的治療を行った多発性硬膜動静脈瘻の1例

著者: 光原崇文 ,   井川房夫 ,   大林直彦 ,   白水洋史 ,   阿美古将 ,   一ノ瀬信彦

ページ範囲:P.575 - P.580

Ⅰ.はじめに

 硬膜動静脈瘻(以下DAVF)はそのほとんどが単発病変で治療戦略は観血的手術,経動脈的塞栓術(以下TAE),経静脈的塞栓術(以下TVE),gamma knife unit(以下ガンマナイフ)やlinacによる放射線手術など多岐にわたる.多発性DAVFは稀であり4,5,8,11),治療は病態に応じて多角的に各治療方法を組み合わせることが重要となる4)

 今回われわれは,多発性DAVFに対して観血的手術,TVE,ガンマナイフを用いて治療した1例を経験したので文献的考察を含め報告する.

脳梁部の腫瘍病変により吃音の再発と新たに症候性吃音を呈した1例

著者: 関泰子 ,   前島伸一郎 ,   大沢愛子 ,   宮崎泰広 ,   脇谷健司 ,   西川亮 ,   棚橋紀夫

ページ範囲:P.581 - P.587

Ⅰ.はじめに

 吃音(stuttering)は「音・音節の繰り返しや引き伸ばしによって,または構音の構え,あるいは回避や阻止などのもがき反応によって,発話の流れが妨害されたときに発生するもの」をいう21).吃音は一般に幼児期に発症するため,発達性吃音(developmental stuttering)16)とも呼ばれる.一方,脳損傷後に発症するものは症候性吃音(acquired stuttering)8)と呼ばれているが,発達性吃音との関係は明確ではない.また,脳損傷後の発話障害には,症候性吃音のほかに運動性構音障害,同語反復症,早口症などがある.言語機能の障害である失語症においても非流暢な発話を呈することがある.症候性吃音と他の言語障害との鑑別についても必ずしも明確にはされておらず,鑑別困難とする研究者16)もある.

 今回われわれは,小学校1年時に発吃し20歳頃までに軽快するが,脳腫瘍の発症とともに再び吃症状を呈した症例を経験したので報告する.

生体肝移植後に自然消失した脳動静脈奇形の1例

著者: 下田祐介 ,   黒田敏 ,   柏崎大奈 ,   浅野剛 ,   山下健一郎 ,   谷口雅彦 ,   鈴木友己 ,   嶋村剛 ,   古川博之 ,   中山若樹 ,   寳金清博

ページ範囲:P.589 - P.594

Ⅰ.はじめに

 頭蓋内脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)の頻度は0.02~0.05%とされており,通常は先天的で時間経過とともに徐々に増大することが多いと考えられている9,20).頭蓋内AVMの発症機転としてはけいれん発作と巣症状のほか,破裂による出血が最も頻度が高い.出血発症の危険性は局在部位や出血の既往の有無に左右され,年間出血発症率は2~4%でそのうち30%が死の転帰を辿る5).根本的な治療法としては,そのサイズ,局在,導出静脈パターンなどを勘案して外科的手術・放射線治療・血管内治療などが実施されているが,いずれの方法においても合併症の危険性があることは周知の事実である9)

 頭蓋内AVMの自然消失は比較的稀で,頭蓋内AVM全体の0.8~3%と報告されている9).そのうちの約70%が,症候性の脳内出血やくも膜下出血の後に消失したと報告されている1).今回,われわれは重篤な肝硬変に合併して発見された中脳近傍のAVMが生体肝移植を契機に消失した症例を経験したので,そのメカニズムの考察を含めて報告する.

錐体骨より発生したepidermoid tumorの2例

著者: 雄山博文 ,   鬼頭晃 ,   槇英樹 ,   服部健一 ,   丹羽愛知

ページ範囲:P.595 - P.600

Ⅰ.はじめに

 錐体骨より発生するepidermoid腫瘍は比較的稀な先天的疾患である3,4,9,10,12).われわれはその2例を経験したので,画像診断,手術方法につき考察を加え,報告する1,7,15)

蝶形骨洞内異所性下垂体腺腫の1例

著者: 鴨嶋雄大 ,   寺坂俊介 ,   内田和希 ,   牛越聡 ,   曺圭龍 ,   寳金清博

ページ範囲:P.601 - P.605

Ⅰ.はじめに

 異所性下垂体腺腫はトルコ鞍内正常下垂体前葉と異なる起源をもつ比較的稀な腫瘍であり,1909年Erdheimらによって最初のケースが報告されて以後4),MRIの普及に伴い,鼻腔1,12,22),鼻咽頭1,24),蝶形骨洞2,5,9,10,15,17,19,29,34,37),斜台3,36),海綿静脈洞8,14,20,28),蝶形骨小翼部6),錐体骨26),鞍上部7,13,18,21,27,30,32,35),下垂体茎部23),脚間層31),第三脳室内発生例16)などの報告が散見される.今回われわれは,蝶形骨洞内に発生した非機能性異所性下垂体腺腫の1例を経験した.画像上の特徴,鑑別疾患など文献的考察を加えて報告する.

腹膜原発漿液性表在性乳頭状腺癌の脳転移の1例

著者: 榊原陽太郎 ,   遠藤秀 ,   吉田泰之 ,   田中雄一郎 ,   橋本卓雄 ,   大原樹

ページ範囲:P.607 - P.610

Ⅰ.はじめに

 腹膜原発の表在性漿液性乳頭状腺癌(serous surface papillary carcinoma:SSPC)は卵巣原発SSPCと病理学的に同一の癌組織が腹膜に発生する悪性腫瘍である1,6,8)

 われわれは腹膜原発SSPCの脳転移例を経験した.かつては予後不良とされていたが2,3),化学療法の進歩により生存期間の延長例も報告されるようになり1,5,7),結果として脳転移例も増加することが予想され5,7,9),文献的考察を加え報告する.

電動ノコギリによる開放性頭部外傷の1例

著者: 小泉寛之 ,   宮坂佳男 ,   田中千彦 ,   藤井清孝

ページ範囲:P.611 - P.614

Ⅰ.はじめに

 建築用工具による頭部外傷は非常に稀である.日常診療において遭遇することは珍しいために,どのような治療方針で対処すべきか示されていない.このような建築用工具による外傷に関する報告例として,自動釘打機による穿通性頭部外傷は散見される4,6,12).しかし,わが国での自殺企図を除く,電動ノコギリによる頭部外傷症例の報告は渉猟できなかった.今回,われわれは電動ノコギリにより,脳挫傷を伴う開放性頭部外傷例を経験した.本症例に対して,受傷後早期に手術を施行し,感染を合併することなく救命し得たので報告する.

連載 先天奇形シリーズ

(7)キアリ奇形

著者: 長嶋達也 ,   山元一樹 ,   河村淳史 ,   長嶋宏明

ページ範囲:P.617 - P.628

Ⅰ.概説

 Chiari(1891)は9),剖検例の検討から小脳扁桃下垂の程度の異なる一連の後脳奇形として4つのタイプを報告した.現在では,キアリ奇形は小脳扁桃や脳幹の一部が大孔を越えて脊椎管内に下垂する形態的特徴をもつ疾患の総称であり45),臨床的にはⅠ型は脊髄髄膜瘤を合併しないもの,Ⅱ型は合併するものと考えるのが理解しやすい.

 キアリⅠ型奇形は小脳扁桃の大後頭孔への下垂であり,高率に脊髄空洞症を伴う(Fig. 1A).後頭骨の形成不全による後頭蓋窩狭小化の関与が指摘されている36).後頭蓋窩が狭窄しているものの小脳扁桃自体は下垂していない例にも脊髄空洞症を合併することがあり,大孔減圧術で空洞が縮小することからキアリ0型奇形と呼んだり(Fig. 1B),キアリⅠ型奇形と同様の所見に延髄と第四脳室の下垂を伴い,キアリⅡ型奇形に似たものをキアリ1.5型奇形と呼ぶ教科書もある47).いずれも大孔減圧術で改善することからキアリⅠ型奇形と共通した病態と考えられる.

 キアリⅡ型奇形は小脳虫部,第四脳室,延髄が大孔へ下垂したものである(Fig. 4).大部分は小児であり脊髄髄膜瘤と水頭症を伴うことが重要な特徴である.McLoneは脳形成過程に生じた神経管閉鎖不全部から髄液が羊水中に流出するために,脳室が発生途上で正常に拡張できないことが,多様な脳・頭蓋の形成不全の基になると一元的に説明している(unified theory)28).Tulipanらは,胎内における脊髄髄膜瘤修復術により,既に存在した小脳扁桃下垂が改善し正常の後脳形態に回復し得ることを示した49).胎内における脊髄髄膜瘤部からの髄液流出がもたらす頭蓋内と脊椎管内の圧較差が小脳と脳幹を下垂させる機序であることを示唆している.

 キアリⅢ型奇形は小脳が大後頭孔より下垂してoccipito-cervical encephalocele内へ脱出したものであり,キアリⅣ型奇形は小脳の形成不全であるがいずれも極めて稀であり臨床的意義は乏しい.Barkovichは,キアリⅢ型奇形は上位頚椎の脊髄髄膜瘤であるとしている5)

 後天性キアリⅠ型奇形(aquired Chiari malformation)と呼ばれる病態として,頭蓋縫合早期癒合症による頭蓋容積の狭小化や後頭蓋窩腫瘍,両側慢性硬膜下血腫などの頭蓋内占拠性病変,腰椎─腹腔髄液短絡術や低髄液圧症候群などに伴う小脳扁桃下垂がある(Fig. 1D)47)

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欧文目次

ページ範囲:P.539 - P.539

ご案内 第4回 脳血管手術研究会

ページ範囲:P.568 - P.568

日  時 2011年7月24日(日) 9:00~16:30

会  場 キャッスルプラザホテル 梓の間(名古屋市中村区名駅4-3-25 TEL:052-582-2121)

「読者からの手紙」募集

ページ範囲:P.580 - P.580

ご案内 第41回(2011)新潟神経学夏期セミナー

ページ範囲:P.600 - P.600

テーマ 脳と心の基礎科学から臨床まで最前線の研究者,臨床家に触れて体感しよう

期日 2011年7月29日(金)~31日(日)

場所 新潟大学脳研究所 統合脳機能研究センター(6F)セミナーホール

投稿ならびに執筆規定

ページ範囲:P.630 - P.630

投稿および著作財産権譲渡承諾書

ページ範囲:P.631 - P.632

略語および度量衡単位について

ページ範囲:P.633 - P.633

次号予告

ページ範囲:P.635 - P.635

編集後記

著者: 斉藤延人

ページ範囲:P.636 - P.636

 この編集後記を書いているのは,東日本大震災が発生してちょうど1カ月の時点である.東京でもまだ連日のように,しかもかなり激しい余震が続き,福島原発の問題も先行きが読めない.さらに夏場には電力不足が予測され,大規模停電回避のために節電策を検討中である.早く諸問題が終息に向かってくれることを祈るばかりである.

 さて,本号の扉では筑波大学の松村明教授が「脳神経外科医の養成とリクルート」と題して,日本脳神経外科学会の「卒後臨床研修制度対応委員会」の取り組みを紹介されている.研修医の集まりで手術用顕微鏡を用いての微小縫合の体験コーナーを設けられている.医学生たちも興味をもって参加されているようである.私も以前,高校生の体験教室でマイクロ実習のまねごとをしたことがある.高校生たちには10-0ナイロンを用いた縫合は予想以上に難しかったようである.あらためて自分たちはプロなのだということを感じるとともに,そのような試練が若者の興味を引き出してくれればと感じられた.

基本情報

Neurological Surgery 脳神経外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1251

印刷版ISSN 0301-2603

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