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TO DO OR NOT TO DO
著者: 西村周郎1
所属機関: 1大阪市立大学脳神経外科
ページ範囲:P.5 - P.6
文献購入ページに移動このような問題は,われわれ脳外科医にとっても無関係ではない.積極的な治療を行ったために,かえって不幸な人をつくるようなことはないであろうか.たとえばグリオブラストーマで,すでに麻痺,失語症などが発現している症例でも,たしかに手術により延命せしめることはできるであろうが,症状の改善がなければ生存の意味はなくなる.肺癌の脳転移などでは別の問題がおこる.肺の原発腫瘍が切除不能であっても,転移脳腫瘍が切除できれば,症状は改善され,ある期間は延命するかもしれない.しかし一方では,「肺癌で苦しんで死ぬよりも,転移脳腫瘍のために死ぬ方が意識障害もおこり患者にとっては楽であろう.だから脳の手術を行わぬ方がよい」と考える者もいるかもしれない.
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