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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科4巻11号

1976年11月発行

文献概要

総説

血液脳関門の超微構造

著者: 谷栄一1 山形省吾1

所属機関: 1兵庫医大脳神経外科

ページ範囲:P.1025 - P.1037

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 1885年Ehrlich19)は酸性色素であるcoerulein-Sを静注した場合,種々の組織が染色されるにもかかわらず,脳組織は染色されないことを確認した.それ以後,種々の色素,コロイド,電解質を用いた実験でも9,27,38,47,54,63,75,88,92),これらの物質の血中濃度は高いにかかわらず,血中より脳組織へのとり込みはほとんどないか,ごく微量に過ぎないことが実証された.関門という言葉が始めて使用されたのは1921年SternとGautier81)で,彼らは血中有毒物質の脳内侵入を防禦する関門を想定し,barrièr hémato-encephaliqueと名づけた.もっとも当時は脳組織は髄液だけで栄養されるという考えが支配的で,彼らのいう関門も血液と髄液との間の関門を問題にした.
 その後,多くの実験的および臨床的知見から血液・髄液間および血液・脳組織間の物質交換は異なるという見解が支配的となり,関門という概念に関しても1929年Walter93)は,血液脳関門,血液髄・液関門および,この2者より若干不確実であるが,髄液脳関門の3つを想定した.従来,血液脳関門に関する研究は多数あるが,ここでは形態学的,ことに電子顕微鏡学的見地から,血液脳関門の中心課題を総括的に述べ,読者の御批判を仰ぎたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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