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啐啄同時
著者: 松本圭蔵1
所属機関: 1徳島大学脳神経外科
ページ範囲:P.1123 - P.1124
文献購入ページに移動碧巌録に「啐啄同時(そつたくどうじ)」という言葉がある.峰は鳥の卵がかえるとき雛が内から吸ったりつついたりすることをいい,啄は親鳥が外からつつくことを言う.禅宗では師家(先生)が修行僧の機の熟したのをみて,悟りの動機を与えることを言っている.不得意の手術を苦心しながら幾度か行い困っているとき,その手術の名手から一言助言をもらっただけで,それからは気持よくうまく行えるようになったという経験をもつ人は,私ばかりではないと思う.啐啄同時とはもともとは宗教的なものではなくて中国の民間でいわれていた諺のようである.要するに,目的を一にする両者が機をえて相応ずるとき飛躍的な前進のエネルギーが生まれることを言っているのであろう.
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