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総説
髄液系出血による頭蓋内圧亢進
著者: 山本信二郎1 林実1 藤井博之1
所属機関: 1金沢大学脳神経外科
ページ範囲:P.1125 - P.1136
文献購入ページに移動頭蓋内出血において血液が髄液系に出た場合には,特に重篤な症状の形をとる.高血圧性脳出血の脳室穿破,動脈瘤破裂によるクモ膜下出血,外傷性急性硬膜下血腫などがその例である.
脳内出血,硬膜外出血,あるいは実験における硬膜外加圧などによる症状には,頭蓋内占拠物質,脳の偏位あるいは,局所的損傷などに起因する二次的症状の役割が大きい.これに対し,髄液系出血の典型的なものでは,頭蓋脊椎腔内のisometricな圧亢進の他に,血液物質そのものの物理化学的作用による現象が加わり,特異な色彩をもつといえる.しかし実際には,a)出血そのものによる脳の機械的障害ならびに髄膜刺激,b)出血の第一次作用としての頭蓋内圧亢進,c)二次的頭蓋内圧亢進,d)血管攣縮,などが多少にかかわらず合併し,これらの器質的,あるいは機能的な脳障害によって頭痛,意識障害,脳の刺激,あるいは脱落の症状が発現する.
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