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研究
"Diencephalic Cyst"—特に他のmidline dysraphismとの関係について
著者: 苧坂邦彦1 佐藤倫子1 大洞慶郎1 玉木紀彦1 松本悟1 児玉宏2
所属機関: 1神戸大学脳神経外科 2神戸大学小児科
ページ範囲:P.1165 - P.1176
文献購入ページに移動1973年Broklehurst1)は巨大な異常腔が頭の正中部で頭蓋骨に接し,時には頭蓋骨外にも延びている奇形4例を紹介し,これを"diencephalic cyst"と命名し,独立の疾患群として取り扱うべきであると主張した.胎生初期第3脳室天井,すなわちdiencephalic roofは大脳上端とほぼ同じ高さにあるが,大脳の発達とともにこのdiencephalic roofは前下方に沈下する.
Brockdehurstの説明によれば,当奇形での正中部異常腔はdiencephalic roofの正常な前下方への沈下が行われなかったために,胎生初期の位置にとどまった本来の第3脳室である.当奇形は前脳胞の障害によるanterior encephaloceleおよびholoprosencephalyなどの症例群と菱脳胞の障害によるDandy-Walker cystおよびArnold Chiari malformationの中開に位置するもので,神経管が閉鎖してから脳梁の発達の始まる60mm期までの時期の障害によって生じたものであろうと彼は推定している.
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