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症例
脳腫瘍を疑わせた放射線脳壊死の2症例
著者: 池田宏也1 金井信博1 神川喜代男1
所属機関: 1大阪大学脳神経外科
ページ範囲:P.1205 - P.1211
文献購入ページに移動中枢神経系はradioresistantと考えられ,その放射線障害に対しては,あまり問題とされない時期があった.頭頸部の悪性疾患に対する放射線治療後,数カ月から数年を経過して生じた脳障害があいついで報告され,遅発性放射線脳壊死(delayed radiation necrosis of the brain)として重視せられるようになった.このradiation necrosisは,脳内占拠性病変として頭蓋内圧亢進など,脳腫瘍と類似した症状と所見を示すことがある.そのため脳腫瘍として手術され,組織学的検査によってradiation necrosisと診断された報告が散見される.わたくしたちも頭蓋外悪性腫瘍の術後に放射線治療を行った後,脳のradiation necrosisを生じた2症例を経験した.それぞれ放射線治療後2年2カ月,3年を経過したあと脳腫瘍を疑わせる症状を呈し,開頭術をうけ,組織学的に診断された.この2症例を報告し,あわせて類似せる報告例について文献的考察を述べる.
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