文献詳細
文献概要
症例
髄膜炎をくりかえした特発性髄液耳漏の1治験例
著者: 橋本卓雄12 間中信也1 名和田宏1
所属機関: 1東京都立荏原病院脳神経外科 2現籍:東京慈恵会医科人学脳神経外科
ページ範囲:P.197 - P.201
文献購入ページに移動髄液耳漏は頭蓋底骨折の結果で生じるものが大部分である.その他,脳神経外科領域では聴神経腫瘍の術後に,耳鼻科領域ではstapectomyを施行した後に一過性の髄液耳漏が経験されるが,そのほとんどは自然治癒する.中耳,およびその附近の腫瘍や感染などにより側頭骨にerosionが生じ,髄液耳漏が惹起されることもある.
これらの疾患に起因しない,いわゆる特発性髄液耳漏は,文献的には,1897年Escatによりはじめて報告されているが6),その後も15例の報告例をみるにすぎず,また本邦での報告例は著者の渉猟しえた範囲では類似例がなく,きわめてまれな疾患である.
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