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研究
下垂体およびその近傍腫瘍の内分泌学的検討(第4報)—鞍結節部髄膜腫の術前後の下垂体機能
著者: 森信太郎1 魚住徹1 渡部優2 滝本昇2 最上平太郎2 橋本琢磨3 大西利夫3 宮井潔3 熊原雄一3
所属機関: 1広島大学脳神経外科 2大阪大学脳神経外科 3大阪大学中央臨床検査科
ページ範囲:P.235 - P.242
文献購入ページに移動tuberculum sellae meningiomaはpituitary adenoma, craniopharyngioma, pinealoma in the chiasmal regionと並んで視交叉部あるいはトルコ鞍近傍に発生する代表的な腫瘍の1つであるが,その視床下部下垂体系に及ぼす影響に関しては,ほとんど研究されていない1).これは,この腫瘍においては,視神経の症状が前景に現れて,それが発見される時期においては尿崩症その他の視床下部症候群あるいは下垂体ホルモン分泌能低下の症候群等がほとんど患者の愁訴となっていないと言う臨床的事実に基づくものであろう.
しかしながら患者の愁訴とならないことは必ずしも種々の機能異常の存在を否定する根拠とならないことは当然であり,また実地臨床上,この腫瘍の術前術後の管理,および長期にわたるafter careの観点から,この腫瘍の視床下部下垂体の機能を明確に把握することが必要と考えられる.
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