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総説
正常圧水頭症
著者: 森安信雄1
所属機関: 1日本大学脳神経外科
ページ範囲:P.517 - P.523
文献購入ページに移動1964年Hakim14)が"Algunas observaciones sobre la presion del L.C.R.sindrome hidrocefalico en adulto conpression normal del L.C.R."なる論文で,成人における水頭症で髄液圧が正常な症候群をはじめて記載し,ついで1965年,Adams and Hakim2)らが"Symptomatic occult hydrocephalus with"normal"cerebrospinal fluid pressure;A treatable syndrome"のなかでさらに討細にこの症候群を述べ,ここに正常圧水頭症(以下N.P.H.と略記する)の概念が提唱された.
この症候群は,成人において脳室が拡大しているにもかかわらず髄液圧は正常範囲内にあり,神経症候としては,健忘,自発性低下,失算などの精神症状を主とし,さらに徐行,ジグザグ歩行などの歩行障害が出現し.腱反射ことに下肢の腱反射が亢進し,症例によっては尿失禁を認めるもので,手術的に脳室心耳吻合術を施行することによりこれらの症候が著しく改善されるのを特徴とする.
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