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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科4巻6号

1976年06月発行

文献概要

診断セミナー

自動症

著者: 村崎光邦1

所属機関: 1北里大学精神神経科

ページ範囲:P.533 - P.542

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Ⅰ.はじめに
 自動症automatismとは精神運動症状が発作として現われる精神運動発作の1つのタイプで,発作時に目的のない,あるいは秩序性を欠いた精神運動性現象が現われ,その間意識障害があって後に健忘を残すものである.発作自動症ictal au-tomatismと発作後自動症postictal automatismに分けられ,後者は大発作などの発作後の意識障害からの回復過程でのもうろう状態にみられるものであり,前者はてんかん発作として独立に起こる本来の自動症で,ここでとりあげるのがこれである.
 従来,精神症状や自動的な運動症状などがてんかん発作として現われてくるものは明確な概念規定がないままにてんかん等価症epileptic equivalentの中に一括されて,今日でいう独立したてんかん発作とはみなされていなかった.ところがJackson15)によって,今日では代表的な精神運動発作の1つである鈎回発作uncinate fit,すなわち何ともいやな臭いや味がしたかと思うと,意識の変容とともに錯覚,déjà vu,幻視などの精神症状を伴った夢幻様状態dreamy stateが生じてくる発作が,鈎回に限局した病巣の発作発射によるものであることが証明されていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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