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研究
下垂体およびその近傍腫瘍の内分泌学的検討(第7報)—下垂体腺腫内出血の4症例における内分泌学的検討
著者: 魚住徹1 森信太郎1 渡部優2 滝本昇2 最上平太郎2 橋本琢磨3 大西利夫3 宮井潔3 熊原雄一3 松本圭史4
所属機関: 1広島大学脳神経外科 2大阪大学脳神経外科 3大阪大学中央臨床検査科 4大阪大学第2病理
ページ範囲:P.557 - P.565
文献購入ページに移動脳下垂体腺腫内にはしばしば腺腫内出血が起こり,比較的小さい出血が腺腫内壊死およびそれにひき続く嚢腫形成を惹起すると考えられている.もし,きわめて大きな出血が起こって腺腫外にあふれ出した場合は,くも膜下出血の病像を呈し,激烈な症状を伴いこれが典型的な脳下垂体卒中(pituitary apoplexy)と称されている.もちろんこの両者の間に位する腺腫内出血も存在するわけで,このような場合には髄液内に血液は証明されないけれども急激な下垂体腺腫の体積増大によって頭痛,嘔気,嘔吐,視力障害の急速な進行,意識障害,ショックなど病態の急変,増悪を示す症状が突発する.
このような場合に,臨床的にこれを典型的なくも膜下出血を伴うpituitary apoplexyと厳密に区別している人1)もあり,pituitary apoplexyという言葉を比較的広義に解する人2)もある.
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