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第一線診療の奨め
著者: 青木秀夫1
所属機関: 1山口大学脳神経外科
ページ範囲:P.617 - P.618
文献購入ページに移動私どもは,大学は学問の府であり,真理探求の場であると教えられ,また科学としての医学を学んだ.卒業後大学の臨床教室に入局し,医局および研究室での生活を通じ,研究こそが最も大切で,研究さえしっかりできれば,あとは大した問題ではない,と考えていた.もちろんその間に臨床の経験を積み,診療は良心に恥じないものをやってきたつもりである.しかし心の内のどこかで,臨床医学というものは,一段低いものであるかのごとき印象をもって接してきたように思う.このような研究優先の傾向は,医学界全般にみられたのではなかろうか.おそらくそのことが病院,特に大学病院で診療を受ける患者に,医療としては高度のものであっても,何となく冷たい,非人間的なものを感じさせたものと思われる.自分で振り返ってみて,大学での診療は一所懸命やったのではあるが,何かもう一つ患者との一体感というか,直接の触れ合いというものが不充分だったように思う.
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