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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科4巻7号

1976年07月発行

文献概要

診断セミナー

交代性および交叉性片麻痺

著者: 村井由之1

所属機関: 1九州大学脳神経病研究施設神経内科

ページ範囲:P.635 - P.639

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 皮質脊髄路は,交叉することなく錐体交叉部まで下降し,ここで交叉して反対側の脊髄側索路を下降して,脊髄前角細胞とシナプス結合する.したがって皮質脊髄路(錐体路)を侵す脳幹部の病巣は病巣と反対側の片麻痺をきたす.脳幹部には皮質脊髄路の他にも各種の上行性,下行性の伝導路が存在する.脳幹部に病巣があって,そのために病巣と同じ側脳神経麻痺をきたし,同時に下降性または上行性の伝導路の障害によって,身体の反対側にlong tract signをきたしたものを交代性片麻痺(hemiplegia alternans)という。
 交代性片麻痺の分類は,19世紀後半から20世紀の始めにかけて盛んに試みられた.脳幹部には比較的狭い部分に,多くの機能に関係した構造が密に存在しているので,障害部位のわずかな違いによって,数多くの症候群が記載された.それにもかかわらず,日常の診療においてはこれらのどの症候群にも正確には一致しない症例がかなり多い.したがって,最初は患者の症状と徴候から病巣の場所と広がりを正確に診断し,次にどのタイプの交代性片麻痺の症候群に属するかを考えるのが実際的であろう.実際の症例について考えてみる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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