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研究
中枢性水電解質代謝異常—特にNa代謝に関して
著者: 大井静雄1 平山昭彦1 松本悟1
所属機関: 1神戸大学脳神経外科
ページ範囲:P.641 - P.648
文献購入ページに移動中枢神経系の疾患に伴った水電解質代謝異常は,多くの症例報告および種々の実験により,近年,水電解質代謝の中枢性調節という点で論議の的となってきた.特に中枢神経系疾患に伴ったNa代謝異常はその中心となり,様々の疾患と中枢性調節機構の障害からADHの分泌および喝中枢への影響を観点に多くの推論がなされてきた1,2).
ADH分泌の調節因子としてi)細胞外液の浸透圧,ii)有効循環血液量,iii)その他,疼痛,ストレスなどがあるが,i)はosmo-receptorによりii)はvolumereceptorによりそれぞれ感知される3).そして一般にはvolume-receptorは左心房に4),osmo-receptorはsupraoptic nucleiおよびparaventricular nuclei,あるいはその近辺にあるとされ5),血清浸透圧の変動に伴いたとえばその上昇がosmo-receptorおよび喝中枢を刺激することにより前者ではADH分泌,後者では経口水分摂取を促進し血清浸透圧の低下をもたらすとされている3).
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