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研究
Fluorescein angiographyによる脳表微小循環動態の観察
著者: 柴田尚武1 森和夫1
所属機関: 1長崎大学脳神経外科
ページ範囲:P.679 - P.684
文献購入ページに移動Fluorescein angiographyとは螢光造影剤であるフルオレセインナトリウム液を内頸動脈に注入し,これが脳表循環系に到達した時に,フィルターで取出した紫外線を当て,血管より螢光を発生させて,これをフィルターにより吸収して脳表微小循環写真を撮影する方法である.
Fluoresceinが血流動態の観察に使用されたのは1961年のNOvotony1)による眼底血管においてであり,以来眼科領域では広く利用されている,一方,脳外科領域においては1967年にFeindel,Yamamoto,Hodge2)によって脳表血管の観察が試みられたのが最初である.ただしFiuorescein angiographyによって観察できるのは,脳表血管の一部,すなわち軟膜の血管であり,あくまで定性的であるという欠点はある.しかし,軟膜の微小循環は開頭により直視下に観察しうる唯一の部位であるため,本法を用いて普通の肉眼またはX-ray angiogramなどでは全く見ることのできない,15から20μの血管の血流状態が良く観察できるばかりでなく,動脈と静脈を同じ条件にて経時的かつ瞬間的な血流動態を把握しうること,生体への侵襲が全くないことなどは実験例においても,また臨床例においても脳血流動態の観察にきわめて効果的な方法と考えられる.
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