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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科4巻8号

1976年08月発行

文献概要

手術手技

急性硬膜下血腫の手術

著者: 倉本進賢1 重森稔1

所属機関: 1久留米大学脳神経外科

ページ範囲:P.727 - P.732

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Ⅰ.はじめに
 重症頭部外傷症例は医界一般の本症に対する認識が高くなったことと,救急搬送体制の向上などによって,最近では比較的短時間のうちに脳神経外科医の手にその治療がゆだねられるようになった.それにしても,早期発見,早期治療こそ治療成績向上につながるのではないかと考えられていた急性硬膜下血腫は,術中にみられる著明な脳浮腫,脳腫脹や術後の頭蓋内圧亢進症状になやまされ,現在なお手術成績が向上せず高い死亡率を示している1,3)
 私どもは,約10年前に本症に対して積極的に広範囲減圧開頭術を実施して,これは助からないだろうと思われた患者を救命し得た経験があり,急性硬膜下血腫に対する片側広範囲減圧開頭術に大きな期待をもったことを現在もはっきりと想い出すのである.その頃から,国の内外で急性硬膜下血腫に対する減圧開頭術の有効性が強調され,急性硬膜下血腫に対する広範囲減圧開頭術は一般に認められるに到っている.しかしながら,私どもの経験でも必ずしも全例に劇的効果が期待できないことや,幸いに救命し得ても遷延性昏睡症例の増加などが問題となって来ている.Ransohoffら1)は急性硬膜下血腫に対するhemicraniectomyの最近の成績を発表し,生存率が10%でfunctionalsurvival rateは4%であったとしprimary brainstem injuryを伴う症例では手術を行うべきでないという悲観すべき成績を発表している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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