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研究
脳組織圧(第1報)—脳組織圧測定時の問題点と測定方法の改良
著者: 林成之1 菅原武仁1 後藤利和1 竹内東太郎1 坪川孝志1 森安信雄1
所属機関: 1日本大学脳神経外科
ページ範囲:P.739 - P.745
文献購入ページに移動組織圧の測定は,はじめ皮下組織や筋肉などで行われ,needle法(Meyer 1932)やmicropipette法(McMaster法)などの歴史的変遷を経た後,1963年Guytenらによるcapsule法が創始された,しかし,このcapsule法は,closed systemの中にある脳組織圧を測定する方法としては,1つの容積をなすボールを脳組織内に挿入する必要があるため,必ずしも満足すべき方法とはいえない.その後,1968年Scholanderらにより,測定カテーテルの中に綿線維を入れたwick法が開発され,Brodersen(1972)とBrock(1972)がこの方法を用いて,はじめて脳組織圧を測定した.しかし,安静時の脳組織圧は,Brodersenは-3から-12mmHgの陰圧であるといい,Brockらは,平均5.42±2.59mmHgの陽圧を示したと,全くあい反する報告をしている.
しかも,その測定内容についても,Brodersenらは間質液圧とし,Brockらは組織圧と報告しており,wick法による脳組織内の圧測定内容について十分検討がなされないまま研究が進められているのが現状である.
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