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研究
粒状脳動脈瘤—くも膜下出血における意義
著者: 宮崎雄二1 安藤英征1
所属機関: 1札幌医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.853 - P.860
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
くも膜下出血の原因巣としての脳動脈瘤の発見率は4-vessels angiographyの施行によって著しく上昇し,多発性脳動脈瘤の発見頻度もまた上昇している.他方脳血管撮影を中心とした各種補助検査の施行によっても出血原因巣を頭蓋内および脊椎管内に証明しえない症例が存在し,その頻度はMarini and Maspes10)は38%,Yasargil19)は20-25%であったと述べている.しかし,このような原因不明の特発性くも膜下出血例についてBjorkesten & Troupp1)は脳血管撮影の面から検討を行い,脳動脈瘤像を看過した症例,微小脳動脈瘤であって,しかも脳動脈瘤内に血栓が形成された症例,血管撮影像上には証明されない微小血管腫の症例が含まれている可能性を示唆した.他方Hassler5)はくも膜下出血による死亡例の剖検によって直径が2mm以下の微小な脳動脈瘤が存在することを明らかにした.このような微小な脳動脈瘤の存在についてはもっぱら病理学的見地から興味が持たれているが,臨床的見地特に脳動脈瘤外科の見地からはいまだ注目されていない.
著者らはくも膜下出血例に対しては中枢神経系に出血原因巣が必ず存在するという信念をもって患者の状態の許す限り徹底的に脳血管撮影およびその他の補助検査法を駆使して中枢神経系内の出血原因巣を探索するようにしている14).
くも膜下出血の原因巣としての脳動脈瘤の発見率は4-vessels angiographyの施行によって著しく上昇し,多発性脳動脈瘤の発見頻度もまた上昇している.他方脳血管撮影を中心とした各種補助検査の施行によっても出血原因巣を頭蓋内および脊椎管内に証明しえない症例が存在し,その頻度はMarini and Maspes10)は38%,Yasargil19)は20-25%であったと述べている.しかし,このような原因不明の特発性くも膜下出血例についてBjorkesten & Troupp1)は脳血管撮影の面から検討を行い,脳動脈瘤像を看過した症例,微小脳動脈瘤であって,しかも脳動脈瘤内に血栓が形成された症例,血管撮影像上には証明されない微小血管腫の症例が含まれている可能性を示唆した.他方Hassler5)はくも膜下出血による死亡例の剖検によって直径が2mm以下の微小な脳動脈瘤が存在することを明らかにした.このような微小な脳動脈瘤の存在についてはもっぱら病理学的見地から興味が持たれているが,臨床的見地特に脳動脈瘤外科の見地からはいまだ注目されていない.
著者らはくも膜下出血例に対しては中枢神経系に出血原因巣が必ず存在するという信念をもって患者の状態の許す限り徹底的に脳血管撮影およびその他の補助検査法を駆使して中枢神経系内の出血原因巣を探索するようにしている14).
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