Neurological Surgery 脳神経外科4巻9号

1976年09月発行

症例

肺動静脈奇形に起因したと思われる脳膿瘍の1例

著者： 金子満雄¹ 有賀直文¹ 横山徹夫¹ 下山一郎¹

所属機関： ¹浜松医療センター脳神経外科

ページ範囲：P.893 - P.896

Ⅰ．はじめに
　脳膿瘍の原因としては種々のものがあるが，肺動静脈奇形に起因するものは稀で，これまでにも散発的な報告がみられるのみである^{1，3，5，6，8，9）}．本症例は脳膿瘍の、診断の下に病巣治療後，原因究明の過程で心臓陰影にかくれた肺動静脈奇形が発見された稀有な例である．
　左同側性半盲を主訴とした27歳男子で，右後頭葉に鶏卵大の脳膿瘍が見出された．これに対する外科治療後，その原因究明中に右肺下葉に肺動静脈奇形が発見され，これも外科的に別出され，治癒せしめることができた．