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文献概要
症例
ガレン大静脈瘤
著者: 端和夫1 藤谷健1 阪口正和1 西村周郎1 松岡収2 北村豊3
所属機関: 1大阪市立大学脳神経外科 2大阪市立大学小児科 3大阪市立大学麻酔科
ページ範囲:P.903 - P.910
文献購入ページに移動ガレン大静脈部の動静脈奇形(AVM)のうち,本静脈が動脈瘤様に拡張したものは,ガレン大静脈瘤と呼ばれ,類似の症例は古くより記載されているが38,43),1937年,Jaegerら20)により報告された症例が第1例とされている.以来,多くの症例がこの名称のもとに報告されて来た1-18,20-22,26,27,29-36,40-42,44).しかし,これらの症例のなかには脳深部のAVMで,導出静脈が拡張したガレン大静脈,あるいはその附近の静脈である例1,4,9,11,16,41)が雑然と含まれており,Litvakら24)はそれらのうち,「内頸動脈あるいは脳底動脈の分枝により,直接血流を受けている1個の拡張した大静脈がガレン大静脈部にあり,拡大した直洞あるいは静脈交会に注ぐもの」を挙げ,それを典型的なガレン大静脈瘤とした.この定義に合致するものをこれまでの文献より集めると,剖検例,手術例およびレ線学的報告を含めて46例を数えることができる2,3,5-8,10-18,20,22,26,27,29-36,40,42,44).しかし,本邦においてはいまだ報告がなく,2,3のそれらしき症例を地方会の発表記録に見るに過ぎない28,39).最近,著者らは典型的な本疾患と思われる症例に遭遇し治療する機会を得たので,文献的考察を加えて報告する.
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